ベッテルの先行きを案ずるバトンとロズベルグ「ルクレールの活躍次第ではキャリアの節目を迎える」
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31歳を迎えた4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルは、キャリアの大きな節目を迎える事になるかもしれない…。かつて同じ土俵でしのぎを削った二人の世界王者、ニコ・ロズベルグとジェンソン・バトンはこの様に指摘する。
スクーデリア・フェラーリは今年、ベッテルとグリッド上で最も仲の良いキミ・ライコネンを放出し、育成傘下のシャルル・ルクレールをザウバーから昇格させる決定を下した。ルクレールは今最も多くの注目を集める才能あふれる若手ドライバーであり、ベッテルの強力なライバルになると目されている。
2009年にブラウンGPでチャンピオンシップを制したバトンは、2019シーズンのベッテルはこれまで以上に多くの精神的圧力を抱える事になると予想。キャリアにとって節目の一年となる可能性があると指摘する。バトンは今年、日本のSuper GTへの参戦と並行して、英Sky Sport F1でコメンテーターを務める。
「レッドブルの時とは異なり、セバスチャンにとってフェラーリの雰囲気はかなり違ったものだと思う。多分、これまで以上にプレッシャーを受けているんじゃないかな。彼が今年どのように対処するか興味深いね。セバスチャンにとっては重要な一年になるはずだ」
ベッテルは2.4リッターV8エンジン時代に選手権を圧倒。レッドブル・レーシングと共に4連覇を成し遂げた。だが、1.6リッターV6ハイブリッドターボが導入され、規約が大きく変更された2014年、スクーデリア・トロロッソから昇格した新人ダニエル・リカルドを相手に完膚なきまでに敗れ去った。
リカルドは自身初優勝を含む3勝を挙げたものの、ベッテルはシンガポールGPでの2位が最高位。ディフェンディング・チャンピオンにも関わらず選手権5位に終わり、フェラーリへと移籍する事を発表した。
「ダニエルがレッドブルに移籍してきた時、彼は困難に直面した。ダニエルはセバスチャンに重圧をかけて、彼より素晴らしい成績を残してみせた。シャルルが今年ダニエルと同じ様にやる事ができれば、セバスチャンの先行きが怪しくなるだろう。厳しい決断を迫られる事になるはずだ」
バトンと同じくSky F1のコメンテーターを務めるニコ・ロズベルグもまた、バトンの意見に同意。試練の年になると指摘する。
「プレッシャーを受けているのは間違いないね。既に去年の段階で圧力を感じていたんじゃないかな。今はフェラーリにいるわけだし、跳ね馬はグリッドで一番の重圧に晒されるチームだからね」
「彼は改善する必要がある。それにチームも同じように改善しなきゃならない。彼らは去年勝たなければならないレースであまりにもミスが多かった」
二人のF1ワールドチャンピオンがフェラーリにおけるプレッシャーを強調し、ベッテルのメンタル面を不安視する一方、ルクレール本人は自身について「プレッシャーを感じた事はないし、それはフェラーリに移籍しても変わらないだろう」と説明する。
「僕はナーバスな人間じゃないんだ。確かにF1にはすごい緊張感があるけど、レースをスタートしてしまえばアドレナリンが吹き出す。僕は全くプレッシャーを感じないんだ。そういうメンタリティーなんだよ。皆が”フェラーリの重圧は飛び抜けてるぞ”って言うけれど、どんなプレッシャーでも受け止められると思う。そういう人間なんだ」
「期待されてるのは知ってるけど、深く考え込んだりはしない。僕としては、自分自身の事に集中してコース上で最高のパフォーマンスを示すだけさ」