F1︰予選エンジンモードの禁止は延期? 背後に渦巻く新たなPU不正疑惑

メルセデスAMGが2014年のF1世界選手権に投入したパワーユニット「PU106A Hybrid」の拡大写真Courtesy Of Mercedes

第7戦ベルギーGPでの導入が確実視されていた予選エンジンモードの禁止措置が延期される可能性が出てきた。RaceFansは20日(木)、信頼性リスクを負う代わりに強力なパワーを引き出す予選専用モードの使用を禁止するためのルール変更が、スパの1週間後に予定されているモンツァでの第8戦イタリアGPに延期されると伝えた。

F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は先週、次戦ベルギーGPを前に、週末を通して単一のパワーユニット(PU)モードの使用を義務付けるための技術指令書を発効する見通しを示した。これは事実上の予選モード禁止を意味する。

その理由についてFIAは、各サプライヤーが開発・運用しているPUモードの数が多く、それらがテクノロジー的に非常に複雑であるため、規約が遵守されているかどうかを監視することが極めて困難になってきている事、そしてモードの存在がドライバーエイドの禁止条項に抵触する可能性があるという2つの点を挙げている。

導入延期の理由は不明だが、報道ではスペインGPの翌日月曜に開催されたパワーユニットサプライヤーによるワーキンググループにおいて、2つのエンジンメーカーがこの変更に不満を示し、禁止の延期について議論が行われたと伝えている。

なおFIAは予選モードの禁止とは別に、8月4日発行の技術指令書TD/036-20を通じて、高電圧回路以外の全ての補助回路の図面・CADを含むERS(回生エネルギーシステム)アーキテクチャに関する詳細な情報を8月21日(金)までに送付するよう4つのPUサプライヤーに指示したとされる。

昨年のフェラーリは燃料流用の測定値を偽るためにセンサーを欺くトリックを使っていたと見なされているが、独AMuSは、メルセデス、ホンダ、ルノー、フェラーリのいずれかのサプライヤーがこれと類似するような方法で、規約で許可された上限を超える電力を不正使用しているとの疑いの目をFIAが持っているようだと伝えている。

安全性に関わる事由でないにも関わらず、シーズン途中にルール変更が行われようとしている事、並びに、非常に詳細な指示内容でPUサプライヤーに情報提供を命ずるところを見ると、いずれかのサプライヤーがライバルメーカーの違法の可能性を示すようなかなり具体的な情報をFIAにリークした可能性もありそうだ。

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