コロナ変異株猛威…開催疑わしい2021年のF1開幕オーストラリアGP
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F1の本拠地とも言うべきイギリスを中心に新型コロナウイルス変異株の感染者数が急増している。2021年シーズンの開幕を告げるF1オーストラリアGPが予定通りに開催されるかは疑わしい。
昨年、メルボルンでのシーズンオープナーは、初日フリー走行直前になって新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止を余儀なくされた。主催者は2年ぶりの開催に全力を尽くしているが見通しは明るくない。
オーストラリアでは3月末に第一波が、そして7月末に第二波が到来したが、11月には5ヶ月ぶりに0名となるなど、その後1日あたりの感染者数は大きく抑えられ、経済活動はコロナ以前の水準に戻りつつあるが、12月末に英国からの旅行者から変異株が確認された。
変異株について英国政府は、従来の新型コロナウイルスと比較して感染力が最大70%高い可能性があるとしている。
2021年1月16日〜17日に開催が予定されていた2020/21年フォーミュラE選手権の開幕戦サンティアゴE-Prixは無期延期されたが、これは英国での変異株の流行を受けて実施されたチリ政府による直行便停止措置が理由と見られている。
国内で変異株が確認された事についてグレッグ・ハント豪保健相は、海外からの渡航者に対して14日間という厳しい自己隔離義務を課していることを理由に、英国からのフライトを直ちに禁止する計画はないとしているが、オーストラリアGPには特有の課題がある。
アルバート・パーク・サーキットは仮設コースであり、常設サーキットとは異なり2ヶ月近い準備期間を要する。3月15日に決勝が予定されていた昨年は、1月10日に重機を入れての建設作業をスタートさせており、予定通りに開幕戦を執り行うのであれば遅くとも2週間以内には着工の必要があると言えるが、現時点では本格的な作業は行われていないようだ。
現地プロモーターが状況を注視していることは明らかだ。今季オーストラリアGPは3月19日~21日に開催が予定されているが、グランドスタンド、パークパス、ホスピタリティの各チケット販売は未だ始まっていない。一方で3月28日に決勝が予定されている第2戦バーレーンGPのチケットはすでに販売が開始されている。
不透明な状況の中、開催を前提にプロジェクトを進めることは物流面や財政面で大きな障害となるだけに、中止あるいは延期が疑われる。