こっそり進化…アストンマーチンの“隠れたスリット”はF1空力トレンドを変える?

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バーレーンで行われた2025年のF1プレシーズンテストにおいて、アストンマーチンが施した技術的な工夫が密かに注目を集めている。フェルナンド・アロンソの駆るAMR25には、従来にない空力用のスリットが隠されていた。
そんな所に…隠れたエアロ改良
F1チームはライバルの技術を分析するため、テストでは専属のカメラマンを配備し、マシンの細部まで撮影する。しかし、アストンマーチンの新たな空力デバイスは、その多くの目をすり抜けた。
このエアダクトは、ヘイローとコックピット側面の垂直フィン(通称:コブラ・ウィングレット)の間という、非常に目立ちにくい位置に設置されている。
アストンマーチンの2025年型F1マシン「AMR25」のコックピット周りに隠された新たなエアダクト、2025年2月26日F1プレシーズンテスト
さらに、カーボン剥き出しで塗装されていないため視認性が低く、ガレージ内ではコックピットにデータ用モニターが設置されるため、なおさら発見が困難だった。
新エアダクトの狙いとは?
アストンの新たな空力デバイスは、「Sダクト」と同様の働きを持つと考えられる。具体的には、マシン表面を流れる乱流をスリット内部に取り込み、整流して後方へ送り出す仕組みだ。
コックピット周りの気流は、ヘイローの外縁、コブラ・ウィングレット、ミラーマウントを通して巧みに制御され、ダクトに取り込まれる。結果としてマシン後部への空気の流れがスムーズになり、空力効率が向上すると見られる。
アストンマーチンの2025年型F1マシン「AMR25」のコックピット周りに隠された新たなエアダクト、2025年2月26日F1プレシーズンテスト(2)
現在のF1では、類似の縦型ダクトをコックピット周辺に設けているチームも存在する。しかし、それらは一般的により低い位置に配置されており、アストンの方式とは異なる。
ライバルチームはこの新技術をコピーするだろうか?
AMR25のエアダクトを採用するには、コックピット周辺のボディワーク全体を変更する必要があり、開発コストとリソースがかかる。
さらに、F1では現在、予算上限(バジェットキャップ)が設定されており、各チームは限られた資金の中で最も効果的な開発を進めなければならない。
加えて、2026年には全く新しいレギュレーションが導入される予定であり、現行マシンの大規模な設計変更に投資するのは合理的ではないと考えるチームも多いだろう。