アルピーヌF1、フェルスタッペン初戴冠以前から「A523」に着手…”最低でも4位”の使命背負う新車の開発ポイントは何処?

2023年2月16日に英国ロンドンで行われたアルピーヌF1「A523」の新車発表会Courtesy Of Alpine Racing

アルピーヌF1チームの2023年型F1マシン「A523」の開発プロジェクトがスタートしたのは、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンによる壮絶なタイトル争いの決着以前のことだった。

アルピーヌは100戦以内に優勝争いに加わるとの目標を掲げて22戦を消化した。A523に課せられた使命はオトマー・サフナウアー代表曰く「最低でも4位」。その開発は2021年にスタートしていた。

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アルピーヌの2023年型F1マシン「A523」レンダリングイメージ細部ボディーワーク

A523の設計作業の開始時期について、テクニカル・ディレクターを務めるマット・ハーマンは「かなり前のことだ。プロジェクトを開始したのは2021年11月だから、昨年のA522を発表する前からだ」と明かした。

「技術レギュレーションの大幅改定を経て、この1年半の間に重ねた学習と理解を踏まえてA522から大きく進化させたのがA523だ」

「ホモロゲーションを取得したのは昨年のクリスマス前のことだった。我々は検証に多大な時間を割いてきた」

「ヴィリーにあるフルモデルカー用のパワーユニット・テスト施設を使い、シャシーに搭載したパワートレインの検証を行ったのは今年の3週目のことだった」

「そこで得られた成果や走行マイレージは本当に満足のいくものだった」

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アルピーヌF1チームのテクニカルディレクターを務めるマット・ハーマン、2023年

昨年のアルピーヌの課題の一つはパワーユニットの信頼性不足だが、PU部門の指揮を執るブルーノ・ファミンは、アキレス腱となっていたウォーターポンプを新しく設計し直した事を明かし「問題の解決に自信を持っている」と説明した。

緑味強いブルーにBWTのピンクというカラースキームに変わりはないものの、フロントウイングとノーズのレイアウト、ラジエーター吸気口の形状など、A523は先代のコンセプトを継承しつつも幾つかの変化が見られる。

中でも目につくのは、冷却アウトレットへと連なるボディーワークだ。ツチノコのように中央部が膨らむ形状が異様な存在感を放つ。

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アルピーヌの2023年型F1マシン「A523」レンダリングイメージ細部フロントウイング

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アルピーヌの2023年型F1マシン「A523」レンダリングイメージ細部フロアエッジ、エンジンカバー、ルーバー

ローラン・ロッシCEO曰く、アルピーヌの新車はシャシー担当のエンストンとパワーユニット担当のヴィリー=シャティヨン双方の「並々ならぬ努力」の結晶だ。

先代との違いについてハーマンは「前後のサスペンションを変更し、フロントウィングとフロントフロー構造を通してパフォーマンスを引き出した」と説明する。

「これにより、ディフューザーが生み出すパフォーマンスを向上させる事が可能となった。リアサスペンションのコンセプトも若干変更した」

「また、昨年の優れたパフォーマンスに基づき強化された車体コンセプトを補完するため、サイズと位置の双方において遮熱システムを適応させた」

「リアエンドにおいてはリアウィング、特にビームウィングで高いレベルの効率向上を実現している」

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アルピーヌの2023年型F1マシン「A523」レンダリングイメージ細部リアウイング、ディフューザー

ハーマンはまた、昨年以上に「アグレッシブ」なアップグレード計画を立てている事を明かし、「供給ラインには空力と機械双方のコンポーネントが並んでいる。準備されている開発物は本当に胸が高まるものばかりだ」と付け加えた。

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