角田裕毅の僚友としてシューマッハ起用を検討していたアルファタウリ「乗せたかった」とトスト代表

ファンに手を振るミック・シューマッハ(ハース)、2022年7月10日F1オーストリアGPのドライバーズパレードにてCourtesy Of Haas

スクーデリア・アルファタウリのフランツ・トスト代表は「乗せたかった」と述べ、2023年の角田裕毅のチームメイトとしてミック・シューマッハが候補の一人に挙がっていた事を明かした。

昨季のドライバーズ・マーケットはセバスチャン・ベッテルの電撃引退により混沌と化した。話題の中心の一つはピエール・ガスリーが持つファエンツァのチームのシートだった。

最終的にはF1イタリアGPでのデビュー代走で9位入賞を飾ったニック・デ・フリースがレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコを射止め、契約を掴み取る結末となった。

だが当時はレッドブルとドイツの高性能スポーツカーメーカー、ポルシェとの提携が現実味を帯びていた事もあり、7度のF1ワールドチャンピオンを父に持つドイツ人ドライバーの名前がコルトン・ハータと並び長らく取り沙汰されていた。

シューマッハについてトスト代表は独「RTL/ntv」とのインタビューの中で「個人的に言えば彼は争点だった」と述べ、マルコはさておき少なくとも自身はシューマッハの起用を真剣に望んでいた事を仄めかした。

また「彼はF1で成功するために必要なものを備えた才能あるドライバーだと確信していた」として「実際、ミックをクルマに乗せたかった」としたが、最終的には契約に至ることはなかった。

1983年にオーストリアのフォーミュラ・フォード王座に輝いた事もあるトストは自身の想いが結実しなかった理由について「政治的な理由もあった」と漠然と語った。そう、シューマッハが「フェラーリ・ジュニア」であった事がネックの一つだった。

スクーデリアはジュニア時代からシューマッハを支援し、2021年シーズンにハースからF1デビューを果たす際にも大きな役割を果たしたとされる。

マルコはジュニア時代からシューマッハの動向を注視してきた事を認め、総じて好意的な評価を口にしているが、昨夏の騒動の際に「彼はフェラーリジュニアだ」と述べ、マラネロの縛りさえなければ検討する余地があると受け取れる発言を口にしていた。

最終的にシューマッハはメルセデスとリザーブドライバー契約を結んだ。目指すのはかつて同じメルセデスで同職を務め、F1デビューの切符を掴んだデ・フリースと同じ軌跡を辿る事だが、フェラーリとのジュニア契約が切れた今、次にシートが空けばアルファタウリの有力候補になるやもしれない。

シューマッハのメルセデス移籍についてトスト代表は「本当に素晴らしいF1でベストなチームの一つだから、当然、彼は多くを学ぶことができる」と述べ、F1復帰に向けてのチャンスだとの考えを示した。

「例えば金曜日のプラクティスでレギュラードライバーのルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルに代わって何度かシルバーアローでコースを走る機会があればと願っている」

トスト代表に言わせれば、それはシューマッハに「自信」を与え「技術的な理解」を更に深め、ひいては「いつかスタートラインに戻って来られる」状況に繋がるはずだという。

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