「金や名声ではなく”本物のレース”を求めるなら、アロンソはインディカーへ転向すべき」と元F1ドライバーcopyright AlexanderRossi

「金や名声ではなく”本物のレース”を求めるなら、アロンソはインディカーへ転向すべき」と元F1ドライバー

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米インディカー・シリーズに参戦しているアレキサンダー・ロッシは、フェルナンド・アロンソはインディへ転向すべきだとの持論を持っている。綺羅びやかで巨額のマネーが動くF1、アロンソが金や名声ではなく”本物のレース”を求めているのであれば、インディは最高の選択肢であると主張する。

2014年からの三年間に渡って、マクラーレン・ホンダでパフォーマンス不足に苦しむアロンソは、チーム離脱や他カテゴリへの移籍を念頭に、来季のレースプランを評価している。とは言え、トップチームのシートは既に埋まっており、F1に残るのであればマクラーレン残留かルノーへの移籍の2つの選択肢のみが残されているような状況だ。

ロッシは2012年から15年にサードドライバーとしてF1に参戦しており、5回のグランプリ出走経験を持つ。インディカーに戦いの場を移した2016年には、ルーキながらも世界三大レースの1つであるインディ500で勝利を挙げた。17年には、アロンソをチームメイトとして迎え入れ共にインディ500を戦った。欧州と北米の両方のトップフォーミュラを知るロッシは、インディカー・シリーズはドライバーにとってF1よりも挑戦し甲斐のあるカテゴリだと説明する。

インディで走る方が面白い

「ヨーロッパのサーキットはここアメリカのものよりも質が高いなんて言われるけど、だからと言ってドライブするのがより楽しいってわけじゃない」とロッシ、インディ公式サイトで自身の考えを披露した。

「アブダビは世界で最も美しいレースコースの1つだと思うけど、走るには退屈なところなんだ。F1のテストで数千周も走ったけど、全然ワクワクしないんだよ。その一方でインディカー・シリーズのミッドオハイオは、見た目としては何も印象的なところはないし、場所によっては改修が必要なほどオンボロだけど、あそこを走る時は毎周毎周が楽しくて笑顔になっちゃうんだ」

昔ながらの自然地形を利用したようなスパや鈴鹿などの一部のサーキットを除いて、ヘルマン・ティルケによってデザインされた近年のF1サーキットの中には、オーバーテイクが少なくドライバーのみならずファンにとっても退屈なものが少なくない。

F1からインディへの転向は驚きの連続

アロンソはF1残留が第一優先と語るものの、インディへの転向の可能性を除外していない。ロッシによれば、インディ500の時のようなスポット参戦ではなく年間シリーズに継続参戦することになれば、アロンソのインディ初年度は驚きの連続になるだろうと予想する。

「インディ500でのアロンソは、(未知のインディでのドライブに)対応するのにそんなには苦労してなかったんじゃないかと思うけど、シリーズ参戦となれば話は別だと思うよ。僕がそうだったように、もしアロンソがインディカーに来るとしたら、インディカー・ドライバーがチャンピオンシップにおいて如何に優れているかに驚くことになると思うよ」

「ドライビングであれセットアップの方向性であれ、些細な一度のミスがコンマ1秒のロスに繋がり、ひいては5位と12位の違いとなって現れるなんて事に、年間を通してビックリし続けるんじゃないかな。そんな事が毎戦毎周のように起きるんだからね。僕に言わせれば、インディカーは最高に素晴らしいレースだと思う」

「もしアロンソがインディに来ることになったら選手権争いは凄まじいものになるだろうね。インディ500の時には(F1モナコGP以上の)世界的な反響があったし、彼は世界のモータースポーツ界のビックネームだから、特にヨーロッパにおけるインディカー・シリーズの市場は間違いなく拡大するだろうね。将来的には欧州でシリーズ戦が行われるチャンスが出てくるかもしれない」

「彼がインディカーに参戦することには何もマイナス面はない。ドライバーとして毎日が楽しくなるだろうね。彼がレースを盛り上げるのは間違いよ」

二兎追うものは一兎をも得ず

バーニー・エクレストンのメディア戦略によって世界一のモータースポーツと称されるようになったフォーミュラ1だが、ワンメイクに近いインディとは異なり、ドライバーの腕が結果に与える影響は小さく、マシン性能が成績を大きく左右する傾向が強い。

チームのマシン開発力や技術力が速さに直結するF1では、如何に優れた才能を持つドライバーであったとしても、良いマシンを手に入れない限りは好成績を残すことは難しい。コスト制限の緩いF1での開発力や技術力というものは、チームの資金力と比例する関係にある。良くも悪くもドライバーが腕一本のみで戦えるカテゴリとは言い難い。

ドイツメディアによれば、メルセデスAMGのマネジメントを務めるニキ・ラウダは、ベルギーGPでレース放棄した疑いが懸けられているアロンソを「金儲けのためだけにマクラーレンに在籍している」と非難したという。2015年に三年契約を結んだアロンソの年俸は約45億円ほどであると見積もられている。一連のインタビューの中で、ロッシは「全ての物事はトレードオフの関係、二兎追うものは一兎をも得ず」との言葉を残した。アロンソは何を諦め、何を掴み取るのだろうか?

「物事はトレードオフなんだよ。心の底から楽しめて真のモータースポーツを味わえるものを求めているのか、それともF1のような綺羅びやかで容姿が魅力的なものを求めているのか?って事に尽きると思う」