60秒差で優勝?単純計算でレッドブルを破るフェラーリの「疑わしいほど良い」ロングランペース
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F1プレシーズンテストの2日目はフェラーリSF-24の印象的なロングランペースが注目を集めた。その数字のみを元に単純計算すると、57周で行われる来週末の開幕バーレーンGPではフェラーリがレッドブルに60秒差をつけトップチェッカーを受ける事になるとの指摘がある。
カルロス・サインツはこの日、C4コンパウンドで1分29秒921のベンチマークを刻み、セルジオ・ペレスにコンマ7秒差をつけてタイムシートのトップに立った。ただし搭載燃料は未知数で、コンパウンドにも違いがあった。ペレスが計測ラップで履いたのは1段硬めのC3であり、補正すると遜色ないタイムを刻んでいた可能性が高い。
一方で搭載燃料がほぼ同一と見なせるレース・シミュレーションは一般的に、実際の競争力を占う上でシングルラップよりも相対的に有益な指標だ。レッドブルはこの日、レースシムを通して合計52周、フェラーリは49周を消化した。
ジャーナリストのマーク・ヒューズは英「The Race」への寄稿記事の中で、レッドブルとフェラーリが共に、同じC1、C2、C3の各コンパウンドを使ってレースシムを3スティントで消化した事に注目し、以下のように各々の平均ペースを算出した。
サインツ | ペレス | |
---|---|---|
第1スティント C3 |
1分28秒21 15周 |
1分28秒65 13周 |
第2スティント C2 |
1分27秒30 17周 |
1分27秒46 18周 |
第3スティント C1 |
1分25秒38 17周 |
1分27秒13 21周 |
ヒューズはフェラーリのペースが「疑わしいほど良い」としたうえで、両者の平均ラップタイムを元に、57周で行われるバーレーンGPのレース結果を計算すると、1周あたり平均1秒以上速いペースを以て60秒差でサインツがペレスに勝つと指摘したが、同時に「これがレッドブルの真のペースを正確に表しているとは思えない」として懐疑的な見方を示した。
両チームがレースシムを実施した時間帯には差があり、またエンジンモードも定かでなく、これが来週末のレースをどの程度、占うものになるのかは確かに分からない。感覚的にも「60秒」はあまりに大き過ぎる数値だ。
しかしながら例えRB20ほどでないにせよ、SF-24が先代よりも速く、課題としていたデグラデーションの低減、ロングランでの一貫性という点で少なからず改善を果たしたであろう事は間違いなさそうだ。
コンパウンドに違いがあるとは言え、サインツが2日目に刻んだファステストはSF-23が昨年のバーレーンGP予選で記録した最速ラップよりコンマ1秒速く、例えばC1でのロングスティントはデグラデーションが殆ど確認できなかった。
また、周回するクルマから収集したデータは、オフシーズン中に風洞およびCFDシミュレーションが示していたものと高い相関が確認されているともされ、F1公式サイトは関係者からの情報として「チームのデータは彼らがかなりのゲインを達成したことを示唆している」とも伝えている。