マシン性能差を考慮した場合の2020年最強F1ドライバーは? 20世紀初の強力な成績を残したのは…
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ドライバーズチャンピオンシップではルイス・ハミルトンが最強の称号を勝ち取る結果となったが、マシンの性能差というものを加味した場合、ダニエル・リカルドの活躍を見過ごす事は出来ない。
サクヒールGPで優勝確実の堅実なパフォーマンスを示したジョージ・ラッセルがドライバーズランキング18位に終わった事を引き合いに出すまでもなく、結局のところ、F1はマシンの性能差が選手権順位を大きく左右するスポーツだ。
幾らハミルトンが鬼神の如き速さと、着実にレースをモノにする驚異的な強さを秘めていると言えども、彼の愛車がチーム創設史上初の0ポイントに終わったウィリアムズFW43であったとすれば、1度でも入賞できれば拍手喝采ものであった事だろう。
誰が最速・最強かという命題はワンメイクではないF1の性であり、永遠に尽きることのない憶測の楽園だが、ライバルと比較して非力と思われるマシンながらも、自らの腕を以て車体とエンジンが持つ以上の結果を残したと思しきドライバーがいる。その一人がリカルドだ。
ワークスルノーは今年、パワーユニット一式を供給するカスタマーチームのマクラーレン(3位)にすら遅れを取るコンストラクターズ選手権5位に終わった。単純計算すればルノーR.S.20より速いマシンに乗るドライバーが8名存在した事になる。
しかしながらリカルドは、そんなマクラーレンのカルロス・サインツとランド・ノリスを下す計119ポイントを獲得してドライバーズランキング5位につけて見せた。トップ5以降の戦闘力に過ぎないマシンを駆るドライバーが5位につけたのは21世紀初の事である。
この事実は、リカルドが優れているのではなく、単に同じR.S.20を駆ったエステバン・オコンがあまりに劣っていただけという可能性も当然にあるわけだが、如何に1年のブランクがあるとは言え、オコンはセルジオ・ペレスに迫る走りを見せていたドライバーだ。
2人がレーシングポイントのチームメイト同士であった2018年、オコンは今年2戦を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で欠場しながらもドライバーズランキング4位を獲得して来季レッドブル・ホンダ入りを決めたペレスに対して15ポイント差の47ポイントを獲得している。
ちなみに今季のリカルド対オコンの成績は以下の通りだ。オコンとリカルドのポイント差は1.9倍に達した。
リカルド | オコン | |
---|---|---|
予選 | 15勝 | 2勝 |
決勝 | 13勝 | 4勝 |
予選最高位 | 4番手 | 5番手 |
決勝最高位 | 3位 | 2位 |
獲得ポイント | 119点 | 62点 |
ランキング | 5位 | 12位 |
Q3進出 | 13回 | 8回 |
入賞 | 14回 | 10回 |
表彰台 | 2回 | 1回 |
ファステストラップ | 2回 | 0回 |
DNF | 1回 | 4回 |
誰が2020年シーズンの最強ドライバーであったかにせよ、2021年にメルセデスF1パワーユニットを搭載するマクラーレン駆るリカルドがどれだけの結果を残すのか、また、ランド・ノリス相手にどのような戦いを見せるのか、非常に興味深いところだ。