トロロッソ「”報道”とは裏腹に、ホンダエンジンは開幕時点で予想を上回る水準に達していた」
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トロロッソ・ホンダのジョナサン・エドルズ主任レースエンジニアは、2018年仕様のホンダ製F1パワーユニット「RA618H」はシーズン開幕時から既に真っ当な水準に達しており、報道で伝え聞いていたような低品質ではなかったため、驚いた事を明かした。
マクラーレン時代、ホンダ製F1エンジンはチーム首脳陣やフェルナンド・アロンソから完膚なきまでにこき下ろされ、英国メディアを中心にバッシングの渦中に置かれ紙面を賑わせていた。それは批判というよりもむしろ、時に耳を覆いたくなるような罵倒レベルのものであり、最高峰フォーミュラ1に相応しくない性能と信頼性をだと揶揄したアロンソの発言「GP2エンジン」は最たるものであった。
ホンダに対する逆風が吹き荒れる中、トロロッソは昨年の9月15日にホンダとの提携を発表。Red Bull Toro Rosso Hondaを名乗り、ワークスチームとして2018シーズンのF1世界選手権に挑む事を明らかにした。
「ホンダについては正直、シーズン開幕の時点で驚くほど良かったのを覚えている」とジョナサン・エドルズ。11月9日にインテルラゴス・サーキットで行われたF1ブラジルGP金曜記者会見の場で、今年一年間でホンダが信頼性と性能をどの程度改善させたのか、また、どのように歩んできたのかについて問われ、次のように答えた。
「報道で色々言われていたけど、そんな事は全然なくて、予想を上回っていた。ホンダはあの時点で既にかなり真っ当な水準に達していたんだ」
「ホンダはシーズンを通して2回大きなアップデートを持ち込んだ。最初はカナダでスペック2が、つい先日はスペック3が投入された。スペック3は特に馬力の点で本当に大幅な改善を果たしており、とりわけ予選において凄く助けられている。残りの2戦でも我々を後押ししてくれるはずだ」
ホンダはICE=内燃エンジンの大規模改良に対して「スペック~」という呼称を内部的に用いて区別。日本のHRD Sakuraで開発された最新版エンジン”スペック3″は、燃焼効率の改良等によって40馬力相当のパワー向上を果たしたと見積もられており、既にルノーを上回る性能を発揮していると考えられている。
マクラーレンと袂を分かつ事を選んだホンダは、1年という短期間で大幅なパワーアップを果たす事に成功した。では、信頼性についてはどうだろうか?
ホンダはブレンドン・ハートレーとピエール・ガスリーの車両に今シーズン8基目のICEとターボチャージャーとMGU-Hを投入。レギュレーションで許可された上限3基を大幅に上回る数のコンポーネントを使用し、大量のグリッド降格処分を科されている。残るコンポーネントのMGU-KやES、CEも上限数を超過しており、全20台の中で群を抜いて交換が多い。
数だけを見れば突出して信頼性が不足しているように見えるが、エドルズはこれを否定。エンジン交換の大部分は戦略的な理由で実施されたものであり、ホンダの信頼性は必要十分な水準に達していると語る。
「信頼性に関してもまずまずだよ。我々に科せられたエンジンペナルティの数を見れば凄く多いと感じるだろうし、ホンダの信頼性がそんなに良くないと思われるかもしれない。でもそれらの大半は予選結果が良くなかった時にエンジンをプールする事を目的に交換したものなんだ」
「ホンダの耐久性は一貫性を示しているし、エンジンパワーに関しても今やかなり良い域に達している」
マクラーレンは開幕前、ホンダとの決別によって優勝争いが可能になると意気込みを示していたが、蓋を開けてみればロシアからアメリカでの3連続でダブルQ1敗退を喫するなど、昨年以上に競争力を欠く場面もしばしば。ファンからは「GP2シャシー」と皮肉られ、昨年の”報道”のしっぺ返しを受けている。