ルノー代表、トロロッソ・ホンダの高い競争力に不満「F1にとって深刻な問題」
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ルノーF1チームのマネージング・ディレクターを務めるシリル・アビテブールが、2019年のトロロッソ・ホンダが高い競争力を発揮している事に不満を示した。ホンダとの2シーズン目を迎えたファエンツァのチームは、同じグループ内のレッドブル・テクノロジーから、昨季チャンピオンシップ3位に輝いたRB14のパーツ供給を受けている。
テクニカル・ディレクター職に就いていたジェームス・キーがマクラーレンへと移籍した事で、トロ・ロッソはマシン開発を主導する指揮官なしに今季マシン「STR14」を作り上げた。にも関わらず、開幕オーストラリアGPの1回目のフリー走行では、ダニール・クビアトがミッドフィールド上位につける7番手を記録。ルノー勢最速を刻んだニコ・ヒュルケンベルグよりもコンマ2秒速いタイムを刻んでみせた。
Sky Sportsのインタビューに答えたアビテブールは、トロロッソ・ホンダの高いパフォーマンスに対して懸念を表明。ワークスとして多額のコストを投じているルノーがマッチアップする相手としては不適当であり、この状況は昨今のF1を席巻している「Bチーム戦略」の弊害だと訴えた。
「トロロッソを見て欲しい。私の意見では、彼らは我々がシーズン開幕戦で倒すべきライバルであるように思う」とシリル・アビテブール。
「トロ・ロッソは昨シーズンをテクニカルディレクター不在の状況で過ごしてきた。すなわち、彼らは最高技術責任者がいない状況で非常に競争力のあるマシンを開発したという事になる。我々にとってこれは問題だ」
「先例を作ったハースだ。彼らがF1の歴史を分断したのだ。このような状況の中で、我々のようなチームはどのようにして前に進んでいけば良いのか。懸念しているのはそういう事だ。マクラーレンやウィリアムズはどうすれば良いというのだ」
レッドブルを含む”ビッグ3″チームは、技術・資本・商業と、レギュレーションに抵触しない範囲内で、幅広い領域に渡って他チームとの提携を促進。レッドブルはトロロッソ、フェラーリ陣営にはハースに加えてアルファロメオが新たに加わり、メルセデスAMGはレーシングポイントに接近しつつある。
この手の緊密なチーム関係は、プライベーターに対してより少ない資本で高効率なチーム運営を可能にさせると共に、トップチームに対しては開発面でのアドバンテージを与えている。ルノーとしても同様のアライアンスを構築したいところだが、お見合い相手は現状マクラーレンしか残されていない。
アビテブール代表は、F1とFIA国際自動車連盟がレギュレーションによってBチームを制限しなければ、今後新たな自動車メーカーがF1に新規参戦する事はないだろうと指摘。現在F1は2021年以降のレギュレーション策定を進めているが、Bチームの制限に関する議題は耳に入ってこない。
「Bチームなくして勝利できないのだとしたら、現在F1に参加していないマニュファクチャラー達が真剣にF1への参入を検討するだろうか?」
「この点に関しては、2021年に向けて議論すべき戦略的事項だと考えている。2019年と2020年に関しては既に対応する事は難しいものの、この問題が如何に深刻かについて皆が認識する事を願ってやまない」