他チームからの接触認めたセルジオ・ペレス、シート喪失の可能性有と明かすランス・ストロール
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2021年のアストンマーチンのシートが危ぶまれた事で、マネージャーを務めるジュリアン・ジャコビが水面下で移籍先の選定を進めていると噂されるセルジオ・ペレスは、ライバルチームから接触を受けている事を認め、シートが安泰だとされるランス・ストロールは、来季が100%保証されているわけではない事を明かした。
今季限りでスクーデリア・フェラーリのシートを喪失するセバスチャン・ベッテルがドライバーマーケットに出た事で、来季より英国高級自動車メーカーの名を名乗るレーシングポイントF1チームが、4度のF1ワールドチャンピオン獲得に向けて正式なオファーを出したとの報道が大きな注目を集めている。
実力・経験ともに申し分ないだけでなく、チームに多額のスポンサーマネーをもたらしているペレスは2022年末までの契約を締結しているものの、レーシングポイントのもう一つの席に座るランス・ストロールはチームオーナーの息子であり、放出される可能性があるのはペレスであると指摘されている。
血縁関係という特殊な事情を除けば、ペレスとベッテルとのコンビが合理的な帰結と考えられるが、チームオーナーでありアストンマーチン会長でもあるローレンス・ストロールは、契約に定められている7月31日を期限とする補償条項を行使して、多額の違約金を支払ってでもペレスとの契約を解消し、ベッテルを獲得する事に前向きとの見方が出ている。
第3戦ハンガリーGPのプレスカンファレンスに出席したペレスに対して、移籍に関わる質問が飛び交うのは自然の成り行きだった。2021年の見通しについて問われたペレスは、時間を掛けて言葉を慎重に選びながら「僕が知る限り、僕はこのチームに留まる事になる。僕には契約がある」とお決まりのコメントを発した。
だが、来季もシルバーストン本拠のチームでチャンピオンシップを戦うのは間違いないのか、また、他チームとの交渉は行われていないのかと質問されるとペレスは次のように答え、既にライバルチームから接触があった事を明かした。
「そうだね、F1では確かな事はなにもない。実際にシーズンが開幕するまで、自分がレースをすることになるのかどうかは分からないものだ。F1はそういうものだからね」
「契約は結ばれている。この1週間の間に噂が流れているのは僕も知っている。実際にパドック内のあるチームからコンタクトを受けた。もちろん何処かは言わないけどね」
ペレスは名を挙げる事を拒否したが、ラインナップが確定しておらずシートに確実な空きがあるチームは限られている。ハースはロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのいずれもが今季末で契約満了を迎え、アルファロメオに関しては、キミ・ライコネンが引退する可能性がある。
質問は容赦ない。後任として噂されるベッテルが移籍してきた場合、彼はチームに一体何をもたらすと思う?との質問もあった。隣に座っていたランス・ストロールは答える事を拒否したものの、ペレスは「彼はこのスポーツでは揺るぎないビッグネームだし、キャリアを通して多くのことを成し遂げてきた。彼が素晴らしいマシンに恵まれ、非常に幸運だった事は確かだけど、彼がフェラーリで成功を収めてきたことは外でもない彼自身の成果だし、チームに招き入れるには間違いなく良い名前だと思う」と返した。
ローレンス・ストロールは投資家としてビジネスマンとして非常に有能な人物だ。大株主であるとは言え、アストンマーチンは上場企業であり会長職は全従業員を守り全てのステークホルダーの利益を優先する義務がある。ペレスを放出しランス・ストロールを選ぶことで責務の放棄と非難される可能性もあるだろう。ランス・ストロールのシートは本当に安泰なのだろうか?
ランス・ストロールは週末に先立って、来季のシートが100%確定しているわけではない事を認め「チームにとって何がベストきめるのは経営者だ」と返した。