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F1スペインGPの舞台は2026年よりバルセロナから首都マドリードへと移り、IFEMA(マドリード展示センター)周辺に建設されるIFEMAマドリード・サーキット(?)で行われる。
コースレイアウト案は明らかにされているが、高低差やコーナーの通過速度など、実際の走行シーンはイメージしにくい。そこで、ウィリアムズEスポーツチームが公開したシミュレーションによるオンボード映像を紹介したい。
予想平均速度218km/hの数値通り、例えばこれは常設のハンガロリンクより30km/h速いわけだが、市街地コースとしてはかなり高速な印象で、おそらくは目玉の一つとなるであろうバルデベバス・カーブ(ターン10)はもちろん、起伏に富んだ後半セクションや、レイアウト図からは想像できないほど速いターン5など、興味深い映像となっている。
このサーキットはマドリード=バラハス空港からわずか5分、市街中心部から10km程度の場所に建設が予定されている。開発途上エリアというロケーションも手伝い、旧来の市街地コースとは対照的に公道セクションは全体の25%強に過ぎず、コースのほとんどは常設セクションとなる。
かつてのストリートサーキットは公道という制約からクルマの低速性能を問うレイアウトが特徴的であったが、ジェッダやラスベガスなど、リバティメディア体制下でカレンダー入りした市街地コースにはロングストレートや高速コーナーが積極的に組み込まれている。
Someone say Madrid GP hotlap? 👀🇪🇸
Who’s excited to see this one hit the @F1 calendar in 2026? 🙌
Track simulation created by @Nukedrop#WilliamsEsports #WeAreWilliams #F1 #Formula1 pic.twitter.com/oKkk5a85qu
— WILLIAMS ΞSPORTS (@WilliamsEsports) January 24, 2024
現時点で公表されているレイアウトは最終案ではなく、当然のことながらFIAによるホモロゲーションが必要であり、またシミュレーションの精度も不明であるため、オンボード映像がどこまで現実に近いものとなるのかは分からない。
加えてIFEMAマドリード・サーキットが実際にグランプリを開催する2026年以降は新たなパワーユニットとシャシーが導入されるため、どの程度、オーバーテイクが可能なのかを予想するのも難しい。
ただ、設計過程に携わってきたF1の車両パフォーマンス責任者を務めるクレイグ・ウィルソンは、高速コーナーやタイトなシケイン、ストレート、そして瞬発的なスロットル操作など、あらゆる要素を備えたレイアウトになるとして、ドライバーにとって「素晴らしいチャレンジ」になるだろうとしている。
現行カレンダーに並ぶ市街地コースは計7つ。10年に渡るマドリードの長期契約は更なる増加を意味する。
サウジアラビア、マイアミ、そしてラスベガスと、近年のF1に追加されるサーキットは公道を使ったものが多く目につく。市街地コースは追い抜きが少ない退屈なレースとなることもしばしばで、テレビで観戦する上では見栄えが他の市街地コースと似たり寄ったりとなる傾向もあり、ファンの中ではマドリードのカレンダー入りに否定的な意見が多い印象だ。
ネガティブな意見をひっくり返せるかどうか、全ては実際のレース次第だ。ホイール・トゥ・ホイールの接近戦がコースの至る所で繰り広げられ、アクションとオーバーテイクが多く、戦略と駆け引きが飛び交うスリリングなレースとなれば、誰もがマドリードを歓迎するだろう。