「マクラーレン・ホンダ最終年はチーム史上最悪のシーズン、金さえあればトップに返り咲ける」とブラウンCEO

マクラーレンCEOのザク・ブラウンと、チーム代表のエリック・ブーリエcopyright Mclaren

マクラーレンCEOのザク・ブラウンは23日、CNBCの番組に出演し、マクラーレン・ホンダとしての最後のシーズンとなった昨年は「マクラーレン史上最悪の年だった」との認識を示し、優勝争いに返り咲くためには資金が必要だと訴えた。マクラーレンF1は同じ日、同社とのパートナーシップ締結を発表している。

「過去3年間は本当に痛々しいものだった。思うに、去年はマクラーレンF1チーム史上最悪のシーズンだったと思う」とブラウン。ブラウンはじめマクラーレンの幹部は、近年の成績低迷の責任を認める発言をした事はなく、自社製シャシーはグリッド最強であり、エンジンパートナーが足を引っ張っているとの旨の発言を繰り返してきた。

2017年のマクラーレン・ホンダは、0勝0ポールポジション0表彰台のトリプル・ゼロ。予選上位10台を決するQ3進出は9回、入賞回数8回、リタイヤ18回、獲得ポイントは僅か30のコンストラクター9位に留まり、第二期マクラーレン・ホンダ初年度の2015年と同じポジションに後退した。過去、同レベルの成績を残した年は3度ある。

F1参戦初年度の1966年、マクラーレン・セレニッシマは1ポイントの獲得に留まりランキング12位。アラン・プロストがF1デビューを果たした1980年のマールボロ・チーム・マクラーレンの時は11ポイントの9位、フェラーリへの産業スパイ疑惑によって全ポイントを剥奪された2007年は順位なしという歴史を持つ。

ブラウンは、表彰台争いを繰り広げるためには財務状況の改善が必要不可欠であり、マクラーレンが抱える問題点は”資金のみ”だと続ける。昨シーズンの最終戦アブダビGPの会見でブラウンは、優勝争いに欠かせない優れたルノー・エンジンを手に入れた事で必要なツールは全て出揃ったと口にしていたが、その主張を撤回した形となった。

「F1は多額のコストが必要なスポーツだ。財務面で上位2チームと張り合う事はできない。マクラーレンは依然として上位4チームの1つと考えている。返り咲くためには、可能な限り多くのリソースをレースチームに投入する必要がある。それができれば、グリッドを大幅に上げる事ができるだろう」

昨年コンストラクタータイトルを手にしたメルセデスと、これに続いたフェラーリの年間運営予算は日本円にして600億円以上と言われており、ホンダからの巨額の資金提供を受けていたマクラーレンは、この2強に次ぐ予算を計上していたとみられている。

ブラウンはホンダからの資金を失った今季でさえ上位4チームに入るだけの予算があると主張するが、イギリスの一中小企業に過ぎないマクラーレンが、ヨーロッパ最大の自動車会社が母体のワークス・ルノーよりも多くの予算があるとは考えにくい。

ブラウンが出演したCNBCは、有数のビジネス・金融ニュースネットワークを持つニュース専門放送局。過去三年の不甲斐ない成績の責任をエンジンパートナーに押し付け、希望に満ちた光り輝く未来像を語り、潜在的なスポンサー候補にリーチするためには申し分のないメディアと言える。

年間予算200億円程のトロ・ロッソと組んだホンダ。優勝争いに欠かせない優れたルノーエンジンを手に入れ、ワークスルノーよりも多くの予算があると主張するマクラーレン。2018年は、否が応でもこの2チームの争いに注目が集まる。

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