マツダ 新デザイン”VISION COUPE”が仏で「最高美」の評価。外観と内装を写真と動画で独自レビュー!

次世代デザインモデル「マツダ VISION COUPE」外観CG画像8

現地1月30日、マツダの次世代デザインを示したコンセプトモデル「VISION COUPE(ビジョン・クーペ)」が、フランス・パリで開催中の第33回 Festival Automobile International(国際自動車フェスティバル)において、最も美しいコンセプトカーに贈られる「Most Beautiful Concept Car of the Year」を受賞した。

同賞は、建築家やファッションデザイナーなど世界的に著名なクリエイターを選考委員に迎え、美しさ、デザインの創造性、そしてトレンドを最も体現しているコンセプトカーに贈られる。マツダは2016年の「Mazda RX-VISION」でも同賞を受賞している。

デザイン・ブランドスタイルを担当する常務執行役員の前田育男は、受賞に際して「光の反射で生命感を表現する新しい方向性に挑戦した。日本の繊細な美意識を反映したこのクルマが、芸術の都パリで認められ大変光栄」とした上で、今後も”日本の自動車メーカー”として世界を魅了する美しいクルマを作っていきたい、と抱負を述べた。

VISION COUPEとは何か?

VISION COUPEは、2017年に世界初公開されたマツダの次世代デザインビジョンモデル。同社によれば、2012年の「CX-5」を皮切りに市販車に適用しているデザインテーマ「魂動(こどう)」を更に進化させるべく、日本の美意識にもとづき深化させ、伸びやかでシンプルなワンモーションフォルムを創造したものだという。

デザインの特徴…流麗さの極み

造形的に言えば、複雑さを取り除き徹底的に削ぎ落としたシンプルかつ流麗なフォルムに対し、ほんの僅かに湾曲した繊細な直線要素を対峙させ、そのコントラストで全体をまとめ上げているのが特徴。

一見ただの直線に見えるその多くが、ぱっと見では気づかないレベルにRを描いている。CG画像を見る限り、神経をすり減らす多大な労力がかかった実に見事な仕事と言える。

意味のないプレスラインは削がれ、車の流れるようなシルエットを阻害する要素はすべて排除されている。

ここが残念…リアの異質感

マツダは「VISION COUPE」の文脈の一つとして”ヘリテージ(heritage / 伝来、遺産)”を挙げる。”エレガンス”の表現のために同社の過去の車、例えばR360クーペやルーチェ・ロータリー・クーペの根底にあるデザイン思想を抽出し、それを現代向けに昇華させたのだという。

丸目のブレーキランプに象徴されるリア周りのある種のレトロな雰囲気はそのためかと思われるが、前面や側面のデザインビューから感じる日本刀のような研ぎ澄まされた緊張感とは相容れず、車全体の一貫性を阻害してしまっているように見える。

悪い意味でリア側は異質であり、フロントやサイドとは別物に感じる。これはこれとしてアリだと思うが、VISION COUPEのリアとしてはナシだろう。

これだけ洗練されてくると、車の顔とお尻に据え付けられたマツダのロゴの造形的な弱さが浮かび上がってきてしまうのも残念。とは言え、それは完成されたフォルムだからこそ見えてくるものであり、デザイナー冥利とも言える。

VISION COUPEは魂動デザインの一つの完成形

これまでのマツダ魂動デザインには、洗練されていない詰めの甘さが見受けられた。「俺って格好いいでしょ?」と言わんばかりの押し付けがましさが、如何にも幼稚な印象を与えるところがあったように思う。語られるコンセプトと実際の造形との乖離も目についた。

だが、発表から8年にして、同社の打ち出した魂動デザインは「VISION COUPE」で一つの完成域に達したと言える。気になる箇所がないではないが、完成度は極めて高いと評価できる。

しばしば「飽きやすい」との批判があがる鼓動デザインだが、「VISION COUPE」にはいつまでも眺めていられる深みがある。それは、無数の試行錯誤の末にたどり着いた一見単調に見えるシンプルなフォルムに負うところが大きい。見る角度や映り込む景色、そして光によって、そこには全く異なる世界が立ち現れる。

VISION COUPEは、オテル・デ・ザンヴァリッドで開催中のコンセプトカー展示会において1月31日から2月4日(現地)まで展示される予定。

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