2023年F1レギュレーション、抑えておきたい8個の主要変更点

アストンマーチンの2023年型F1マシン「AMR」とフェラーリ「SF-23」アルピーヌ「A523」copyright Formula1 Data

2023年シーズンのFIA-F1世界選手権は前年に導入されたグランドエフェクトカー規定を継続。レギュレーションに大きな変更点はないものの、注目すべき幾つかの調整が行われた。

ポーパシング撲滅へ、フロア及びディフューザー変更

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ローンチイベントでお披露目されたメルセデスの2023年型F1マシン「W14」ローンチカーのフロアエッジ、エンジンカバー

2022年シーズンは技術規定大改革の下、導入されたグランドエフェクトカーが抱える根本的な問題が露見した。ポーパシングとバウンシングだ。

ポーパシングは車高の変化により走行中のダウンフォース量が不安定になる問題で、バウンシングはグランドエフェクト追求のために足回りのセッティングが硬められた結果、機械的な上下動が発生してしまうというものだ。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

バクー市街地コースでのレースを終えて腰に手をやるメルセデスのルイス・ハミルトン、2022年6月12日F1アゼルバイジャンGP

ドライバーの健康被害をもたらすリスクがあったため、統括団体の国際自動車連盟(FIA)は昨シーズン途中に加速度センサーの搭載を義務付け、空力振動基準(AOM)と呼ばれる垂直振動の基準値を設定した。許容値を超える振動を生み出すセットアップを施した場合、リザルトから除外される。

2023年に向けては抜本的な対策が図られ、以下の変更が加えられた。

  • フロア・エッジ高の15mm引き上げ
  • ディフューザー・スロート高の引き上げ
  • ディフューザー・エッジの剛性強化
  • より正確な振動測定のために新センサーを追加

この調整により激しいポージングは理論的上、過去のものとなるはずだが…。

フロアの”たわみ”検査も厳しくなり、2022年は250Nの荷重を加えた際、車体前後方向に8mmまでのたわみが許されていたが5mmに減った。

パワーユニット及び燃料の変更点

Courtesy Of Honda Motor Co., Ltd

ホンダの2019年型F1パワーユニット(RA619H)全景

開発は凍結されているが、パワーユニットの最小重量は1kg増加し151kgとなった。以前は対象外だった駆動系パーツが含まれる事になったためだ。なお車両最低重量は798kgと変わらない。

燃料温度はこれまで、単に「周囲気温」の10℃未満であってはならないと定められていたが、「周囲温度」が30℃を超える場合は20℃にまで冷やす事が許可される事となった。暑い週末のエンジントラブルが減るかもしれない。

予選後に適用されるパルクフェルメ下では原則として、同一仕様以外のパーツに交換するとピットレーンスタートとなるが、規定の一部が改訂され、パワーユニットに関しては新しいスペックへの交換が認められる事となった。

また「局所的かつ最小限」であれば、パワーユニットに対する一時的な修理も許可される事となった。

周冠宇の大事故を経て強化されたロールフープ

copyright FORMULA 1

ジョージ・ラッセル(メルセデス)との衝突により上下反転した周冠宇のアルファロメオC42、2022年7月3日F1イギリスGP

周冠宇がドライブするアルファロメオが路面を逆さまに滑走するという2022年イギリスGPで発生した恐怖のクラッシュを受け、ロールフープに変更が加えられた。

剛性強化に加え、事故の際に地面に食い込むリスクを減らすためロールフープの上部は丸くしなければならず、ホモロゲーションのための試験方法にも変更が施された。

リアビューミラーの大型化

Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

アストンマーチンの2023年型F1マシン「AMR23」のヘイロー、リアビューミラー、ホイールカバー

昨シーズンのハンガリー、ベルギーでのテストを経て、コックピットからの後方視認を高めるためリアビューミラーが変更された。

反射面の幅は従来、横150mm:縦50mmであったが、2023年マシンは200mm:60mmとなる。

新コンパウンドの投入

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2022年シーズンのF1世界選手権に供給されたピレリの18インチスリックタイヤ

ピレリはこれまで、C1(最も硬い)からC5(最も柔らかい)までの5種類のコンパウンドを製造し、グランプリの週末ごとにその中から3種類を選び、柔らかい方から順にソフト、ミディアム、ハードの呼称を与えて各チームに供給してきた。

2023年シーズンは従来の「C1」が「C0」へと改称され、従来の「C1」と「C3」の中間に該当する柔らかさのコンパウンドが新しく「C1」の名前で導入された。

また、昨年導入された18インチの大口径扁平タイヤにより顕在化したアンダーステアを低減するために、フロントグリップを高める方向で構造にも手が加えられた。

スプリント開催が2倍の6箇所に

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

F1エミリア・ロマーニャGPスプリントで隊列をリードするシャルル・ルクレール(フェラーリ)、2022年4月23日イモラ・サーキット

スプリントの開催数が従来の3大会から6大会に倍増された。バクー、スパ、ロサイル、COTAが新たにデビューする。

2023年F1スプリント開催地
グランプリ サーキット 日付
アゼルバイジャンGP バクー市街地コース 4月28-30日
オーストリアGP レッドブル・リンク 6月30-7月2日
ベルギーGP スパ・フランコルシャン 7月28-30日
カタールGP ロサイル・サーキット 10月6-8日
アメリカGP COTA 10月20-22日
サンパウロGP インテルラゴス・サーキット 11月3-5日

更に、2023年のスプリントではレース中の事故に対する損害賠償制度が簡素化され、一定額となった。1イベント毎、1チームあたりの上限額は30万ドル。細々とした補償条項は一掃された。

DRS制限緩和

Courtesy Of Red Bull Content Pool

マックス・フェルスタッペン駆るレッドブルRB18のリアウイングとDRSフラップ、2022年5月22日F1スペインGP決勝レース

2023年のスプリントにおいては、スタート及びセーフティーカーからの再開時にDRSの使用許可が従来よりも1周早められる。

リアウイングの角度を変更して空力抵抗を低減し、オーバーテイクの促進を目指すDRSは、クラッシュなどの事故を防止する観点からスタートまたは再スタート後の最初の2周は使用できないルールとなっている。

これを2周目から使用できるようにした場合にどの程度のレース性向上が期待できるのかについて、まずは2023年のスプリントを使って実験・評価を行い、その上で2024年にはスプリントだけでなく決勝を含めた全てのレースでの採用を目指していくという。

代替タイヤ配分方式(ATA)の導入

2006年以降、F1の予選は3ラウンド制のノックアウト方式を採用している。第1ラウンドの「Q1」には全20台が参加。そのうちラップタイム上位15台が「Q2」に進出し、Q2では上位10台が「Q3」へ進出する。

いずれのラウンドにおいてもドライバーは装着するコンパウンドを自由に選ぶ事ができるが、最大2大会(現時点ではどのグランプリで採用されるか未定)の予選で実施される代替タイヤ配分方式(ATA)改訂予選フォーマット(RQF)では、予選3ラウンドの各々で装着できるコンパウンドが以下のように制限される。

  • 予選Q1:ハードタイヤのみ
  • 予選Q2:ミディアムタイヤのみ
  • 予選Q3:ソフトタイヤのみ

ただしウエット宣言が出された場合はこの限りでなく、インターミディエイトとウエットタイヤを含めた全てのコンパウンドを自由に履くことができる。

一つのレースウィークに供給されるタイヤは晴れ用のスリックが13セットだが、改訂予選フォーマットが採用される週末は以下のように11セットに削減される。

  • ハードタイヤ…3セット
  • ミディアムタイヤ…4セット
  • ソフトタイヤ…4セット

これは週末全体に用意されるタイヤを削減して持続可能性を高める事を目的としており、今季のトライアルが成功した場合は2024年シーズン以降に全面採用される可能性がある。

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