3年で激減した「予選僚友勝率」近年のルイス・ハミルトンが苦戦している原因とは
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ルイス・ハミルトンがシングルラップでチームメイトのジョージ・ラッセルを下回っている状況についてメルセデスは、現行グランドエフェクトカーと彼のドライビングスタイルの不一致が原因であると考えている。
7度のF1ワールドチャンピオンはキャリア通算104回のポールポジションを獲得。同68回のミハエル・シューマッハを大きく上回り、シングルラップ史上最速ドライバーの称号を持ち合わせている。
バルテリ・ボッタスがチームメイトであった2021年当時、予選での対チームメイト勝率は73%であったが、ジョージ・ラッセルを初めてチームメイトとした2022年には59%に低下。昨年は47%にまで落ち、今季に至っては12%と、全く太刀打ちできていない。
ラッセルの成長、そして39歳を迎えたハミルトンの年齢など、理由は幾つか想定されるが、メルセデスのエンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、ハミルトンのドライビングスタイルが2022年に導入された現行世代のマシンに合っていないことに起因しているとの見方を示した。
ハンガロリンクでショブリンは「予選に関してジョージは一貫して本当に高い基準を設定してきた。それはF1に参戦した当初から印象的だった」と語った。
「ウィリアムズにいた際も、彼の予選セッションは本当に素晴らしかった。だから彼が素晴らしく速いドライバーであることは分かっている」
「ルイスは土曜が彼にとって厳しい日であることを隠していない。彼はこの世代のクルマが自分のスタイルに合っていないことにずっと苦しんできた」
「彼はドライビングスタイルを見直すために取り組み、我々はクルマを速くするために膨大な作業を行ってきた。だがそれでもまだ十分に速くはなっていない」
「同時にドライバーにとっては、シングルラップで攻めた走りができるようなハンドリングバランスも重要だ」
具体的にはハミルトンのどのような特徴がグランドエフェクトカーと合っていないのだろうか。ショヴリンはコーナーに対するアグレッシブなアプローチがリアタイヤをオーバーヒートさせる傾向があると指摘する。
「ロングランペースは一貫してあるが、彼は特にシングルラップに苦労している。それは彼がコーナーを攻める方法にある」とショブリンは説明する。
「彼のスタイルの場合、クルマはオーバーステアになりタイヤの温度が上がり始める。ゆえに我々は、彼がアグレッシブなスタイルでドライブできるようなクルマを用意することに仕事の大部分を費やしてきた。ラップタイムを引き出しつつも、クルマが突然コントロールを失って彼を驚かせるようなことがないようにね」