「リッチエナジー問題」に難儀するハースF1、ベルギーGP開幕前までの解決望む

ハースの2019年型F1マシン「VF19」のエンジンカバーに掲載されたリッチ・エナジーのロゴcopyright Haas F1 Team

ハースF1チームは、タイトルスポンサーであるリッチエナジーとのイザコザが、夏休み明けに開催されるベルギーGP前までに解決されることを期待している。

同チームに多額の資金を提供する英国のエナジードリンク会社は、契約書にパフォーマンス条項がないにもかかわらず、成績不振を理由として、F1第10戦イギリスGP開幕を直前に控えた7月10日(水)に、ハースとのスポンサー契約破棄を一方的に宣言した。

その後、契約解消発表はウィリアム・ストーリー最高経営責任者の独断である可能性が浮上した。内紛状態に陥った同社は、イギリスGP終了後にストーリーCEOを事実上更迭し、「ライトニング・ボルト」へと社名を変更。マシュー・ケル氏が全株式の75%を取得して筆頭株主に就任した。

一連の混乱に対してハースは、旧リッチエナジー社に対して3500万ポンド(約47億円)の支払いを要求。法的手段での解決を目指す構えを見せていた。

だが、ハースは夏休み前最後のハンガリーGPでも、マシンやホスピタリティにリッチエナジーのロゴを掲載。依然としてリッチエナジーがハースの冠スポンサーである事を明らかにしているが、シーズン後半戦に先立って状況が一変する可能性もある。

ハースのギュンター・シュタイナー代表はハンガロリンクで「未だ混乱が続いているが、今後数日のうちに決断を下すべきか、はたまたシーズン後半開幕前に判断すべきだは、誰の目にも明らかだ」と語り、レースウィークではなく、夏休み中に問題を解決する予定である事を明らかにした。

「我々がパートナーシップを継続しない場合、クルマからロゴが消えてなくなるだろう。それはもう少しすれば明らかになることだ。もしロゴが依然として掲載されるのであれば、それに越したことはない」

ハースは今季F1世界選手権に「リッチエナジー・ハースF1チーム」として登録しているが、仮にシーズン途中でチーム名を変更する事になったとしても特に問題はない。フィリップ・モリス・インターナショナルを冠スポンサーに抱えるフェラーリは、各国のタバコ規制関連の法律に応じて、各グランプリ毎にエントリー名を変更している。

ハースは今シーズンに先立って、リッチエナジーのブランドカラーに合わせて黒色と金色を採用。今季VF-19は、かつてのロータスを思わせるカラーリングを身にまとっている。仮にリッチエナジーとの契約が解消された場合、マシンのリバリーが変更される事は想像に難くない。

ハースを悩ませているのはスポンサーだけではない。米国を本拠とする新興チームは開発の方向性が定まらず、イギリスGPとドイツGPに続いて、ハンガリーGPでも2つの異なるパッケージのマシンを走らせた。ロマン・グロージャンには開幕戦仕様を、そしてケビン・マグヌッセンには最新型のエアロを搭載して比較評価を実施。羅針盤を失ったハースは、現在ランキング9位と低迷している。

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