FIA、コルトン・ハータのF1ライセンス資格を調査との報道…アルファタウリ加入が取り沙汰される中
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スクーデリア・アルファタウリの加入が取り沙汰されるコルトン・ハータに関して、国際自動車連盟(FIA)は既に、F1スーパーライセンスの発行資格があるかどうかについて調査に取り組んでいるようだ。
ドライバーズ・マーケットが揺れ動く中、アルピーヌはフェルナンド・アロンソの後任としてピエール・ガスリー(アルファタウリ)に白羽の矢を立てており、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、条件次第ではガスリーの早期契約解除に応じる用意があるとしている。
仮にガスリーの席が空いた場合、慣例に則ればFIA-F2選手権に参戦中の育成ドライバーの昇格が予想されるところだが、目ぼしいジュニアドライバー不在の状況を受け、ヘルムート・マルコは米国出身の若手ホープ、アンドレッティ・オートスポーツ所属のハータに興味を示しているとされる。
ただ、これには大きな問題が立ちはだかる。22歳のアメリカ人ドライバーはF1参戦要件であるスーパーライセンスの取得条件を満たしていないのだ。
スーパーライセンス取得のためには直近の3年間で少なくとも40点のライセンスポイントを取得しなければならない。2023年の参戦を前提とした場合、2020~2022年あるいは、2019~2021年のいずれか合計得点が高い3年間が考慮される。
ハータの場合、現時点では後者が審査の対象となる見通しだが、これは計32点で要件に8点届かない。ただ、スーパーライセンスに関するルールを定めたFIA国際モータースポーツ競技規則付則L項には特例が記されている。
それは、少なくとも30点のスーパーライセンス・ポイントを持つ者を対象に、「不可抗力」によって資格を得る事ができなかったとFIAが判断した場合にライセンスが発行されるというものだ。
英Autosportは31日(水)、コルトン・ハータがスーパーライセンス要件を満たしているかどうかについてFIAが調査を行っていると報じ、例の不可抗力条項が認められれば取得の可能性があると伝えた。
その根拠として、ハータが2018年に参戦したインディライツでランキング2位に輝いた事を挙げた。同年のレギュラーエントリーは8台しかなかったため、スーパーライセンス・ポイント付与のための基準を満たさなかった。
Autosportは、仮にFIAが2018年を評価対象とする事を認めれば、2018年、2020年、2021年の3シーズンの合計ポイントは計40点になると指摘し、「まさに彼が必要としているポイントがカウントされる可能性がある」と報じた。
ただ、これに期待するのはかなり難しいものと思われる。確かに不可抗力条項は、不可抗力が発生したかどうかの判断対象となる基準年を明確に挙げていない。だが、条項全体から判断するに直近の4年間、すなわち2019~2022年に限られるように読み取れる。
不可抗力条項が認められない場合、ハータが2023年のF1デビューに向けてスーパーライセンスを取得する唯一のシナリオは、2020年に新たに設けられた「プラクティスポイント」を使う方法だ。
これはフリープラクティス限定のスーパーライセンス保有者に対し、1回のセッションで100km以上を走行した場合に1点を与えるというもので、1つの週末に最大1点、3シーズンで最大10点を獲得する事ができる。
今季のF1カレンダーはまさに、ちょうど8戦を残している。つまり理論的には8点を上乗せする事が可能だが、こちらも実現の可能性は低い。
というのも、オランダGPとイタリアGPの週末はインディカーのゲートウェイ及びポートランドとバッティングしており、職務放棄しない事にはF1のフリー走行に参加できないためだ。