元F1ドライバーのヘイキ・コバライネン、上行大動脈瘤を告白
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2007年から13年にかけてルノーやマクラーレン、ロータス、ケータハムからF1に参戦したレーシングドライバー、ヘイキ・コバライネンが上行大動脈瘤と診断され、開胸手術を受ける事を選択した。
ラリーチーム・アイセロから全日本ラリー選手権に参戦する42歳のフィンランド人ドライバーは健康診断の結果、精密検査が必要との医師の診断を受け、3月1〜3日の2024年全日本ラリー選手権開幕ラリー三河湾を欠場した。
フィンランド紙「イルタレッティ」とのインタビューの中でコバライネンは、検査の結果、大動脈に異常な拡張が認められたと明かした。ラリーチーム・アイセロによると上行大動脈瘤との診断が下ったという。
前日にはランニングに出かけており、調子も良かったというが、翌日に医師から検査結果を聞かされ「少しショックだった」とコバライネンは明かし、「遺伝性の病気だからどうしようもない。今見つかって良かった」と語った。
今のところ自覚症状はなく日常生活に問題はないというが、コバライネンは日本に飛んで専門家に相談するなど、治療方法を模索してきた。
現時点で緊急性はないものの、将来的に避けては通れず先延ばしにする意味はないとして、手術を受ける決意を固めたが、コバライネンはこれが「最悪のリスク」を伴うものだと認めている。
大動脈に関わる疾患は最悪の場合、破裂して致死的な状態に陥る。上行大動脈瘤は胸部大動脈瘤の一種で、国立循環器病センターによると、通常は20~30mm程度の大動脈が30~40mm以上に膨らんだ状態を指す。
大動脈は心臓から送り出された血液が通る人体の中で最も太い血管で、上行大動脈は心臓から出てすぐ上に向かう血管を言う。
大動脈瘤はほとんどの場合、症状がないが、破裂を防止するための手術が必要で、大動脈瘤を切除して人工血管に置き換える人工血管置換術か、ステントと呼ばれるバネ状の金属を取り付けた人工血管をカテーテルの中に収納して大動脈内に挿入し、大動脈瘤の前後を含めた大動脈内に展開するステントグラフト内挿術と呼ばれる二つの方法がある。
これまでのキャリアに満足しているとしてコバライネンは、手術の結果、たとえレーシングドライバーとしてのキャリアを終える事になっても構わないとの考えを示し、あくまでも目標は「通常の生活に戻る事」だと強調した。
コバライネンはまた、早期に発見されれば何らかの対応が可能だとして、健康診断の重要性をファンに訴えた。
コバライネンには昨年6月に生まれたばかりの息子エミール君がいる。妻キャサリン・ハイドさんとは2014年に結婚した。