ブレンドン・ハートレー、シート喪失の一端を語る「F1には多額のお金と政治が渦巻いている」

厳しい表情のブレンドン・ハートレー、2018年F1スペインGP2日目copyright Red Bull Content Pool

「F1には多額のお金や政治が渦巻いている」ーー今年限りでトロロッソ・ホンダから解雇されF1を去る事となったブレンドン・ハートレーが、シート喪失の一端を明かした。

アブダビGP決勝翌日の11月26日、チームは2019年のダニール・クビアトのチームメイトとしてアレックス・アルボンを起用する事を正式発表。昨年のアメリカGPでF1デビューを果たしたハートレーは、タイ国籍の22歳にシートを奪われる事となった。

「チームとは長期契約を結んでたのに、シーズンのかなり最初の段階から(シート喪失の)噂が出たから本当に驚いたよ」とハートレー。地元ニュージーランドのメディアに、契約解消の一部始終を明かした。

「ルマンで勝利してチャンピオンとしてF1に来たのに、2・3戦を終えたばかりで噂が立つなんてね。シーズン開始早々に、近い将来の事についてアレコレ質問攻めにあったんだ」

「でも、他のドライバーにシートを取られそうな状況だったにも関わらず、上手く対処できた事には満足してる。実際その事があったからより成長できたしね。僕は戦い、シーズンを通して改善した」

第2戦バーレーンGPで相方ピエール・ガスリーが4位入賞を果たしてパドックに強烈な印象を与えたのとは対照的に、ハートレーは第3戦中国GPと第4戦アゼルバイジャンであわや同士討ちのニアミスを演じ、続く第5戦スペインGPではフリー走行中に大クラッシュを喫した。

不運と自身のミスとガスリーの活躍が重なった事で、ハートレーは極めて厳しいシーズンスタートを余儀なくされた。シーズン中に解雇されるのでは…そんな噂が流れ始めたのはカタロニア・サーキットを後にした第6戦モナコGP。トロ・ロッソの人事権を掌握するヘルムート・マルコが、ハートレーの成績に不満を示した事が始まりであった。

「メディアでは”彼は腕を上げてチームメイトを倒さなきゃならない”なんて書かれたりしたけど、シーズン終盤には自分のゲームが出来てるって実感があったし、ホンダやトロ・ロッソのスタッフ達と素晴らしい関係を築いて、チームメイトと遜色ないパフォーマンスを示す事ができたと思ってる」

「F1の世界は本当に複雑で、多額のお金や政治が絡んでるスポーツなんだ。常に純粋なパフォーマンスだけで契約が決まるわけじゃない。自分ではコントロールしようもない領域で決まってしまうんだ」

「それでもF1では本当に素晴らしい経験を積むことができた。F1マシンは世界最速のクルマだし、もっと言えば(ハートレーが乗っていた2018年型のマシンは)歴史上最も速いマシンだろうしね。自分の仕事については誇りに思ってるけど、もう少しやれたはずだって思ってるのも事実だ」

契約打ち切りという形で突然F1から放り出される事になったハートレーは、2019年の主戦場を決めるべく、かつてWEC世界耐久選手権でタイトルを獲ったポルシェとコンタクトを取り、水面下で交渉を続けている。

「ポルシェとのパイプは今でもちゃんと維持してるんだ。彼らとは4年間に渡って活動を共にして、2度の世界タイトルとルマンと制した。先週はずっと電話をしていたし、大量にメールのやり取りもしてる。既に12月だから来シーズンの事を決めるには理想的なタイミングとは言えないけどね」

ポルシェは2017年を以てWEC世界耐久選手権のLMP1クラスから撤退しているものの、その代わりとして2019年12月に開幕予定のフォーミュラE第6シーズンへとワークス参戦する。

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