合併に向けての布石? ブレンボ、事前通告なしにピレリの株式を取得

2019年のF1ピレリタイヤcopyright Pirelli & C. S.p.A.

イタリアのブレーキメーカーであるブレンボは3月31日(火)、F1公式タイヤサプライヤーを務めるピレリの株式を取得したと発表した。親会社のNuova FourBを通じて、ピレリ株2.43%を直接保有する。

ブレンボは声明の中で「ピレリはその歴史、ブランド、主導的地位、技術革新志向のアプローチといった点でブレンボと似ており、その業界の中で特に重要な企業である」と述べた上で、今回の出資は「長期的視野」に基づいたものであり投機的な意味合いはないと主張した。

ブレンボはまた、今回の決定は「独立的に下した」としており、ピレリ側への事前の相談・通告を行わなかった事を明らかにした。そのため、電動化への課題に直面する自動車業界にあって、将来的な合併に向けた布石なのではとの憶測が飛び交った。

しかしながら、ピレリのマルコ・トロンチェッティ・プロベラCEOはロイターに対し、事前通告がなかった事を認めつつも「ブレンボ側の動きは承知していた。敵対的なものだとは考えていない。合併の計画もなく、我々は彼らの投資を歓迎している」と述べ、その可能性を除外した。その一方で市場関係者の中には、合併は合理的な選択肢だと考える者もいる。

ピレリ株は2018年1月の8ユーロをピークに下降の一途を辿っており、現在の取引価格は3ユーロにまで低下。2017年の再上場以来の最安値で市場に出ている。

当初より計画していたとあれば今回の株式取得は絶好のタイミングとも言えるが、ピレリはブレンボ共々新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で国内での事業活動が停止しており、工場再稼働後も需要の大きな低迷が予想される。

ピレリはブリジストンに代わって2011年にF1に復帰し、以来フォーミュラ1チームにタイヤを独占供給。ブレンボは1975年のF1初参戦以来、メルセデスやフェラーリを含む数多くのチームにブレーキを提供している。

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