アウディF1との交渉にも影響? アストンマーチン、僅か2年でCEO交代…経営陣にフェラーリ元幹部がズラリ
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アストンマーチンのトビアス・ムアースが僅か2年の任期で最高経営責任者(CEO)を退任する事になった。後任にはフェラーリの元CEO、アメデオ・フェリーサが就任する。
アストンマーティン・ラゴンダは5月4日(水)、トビアス・ムアースの退任を発表した。円滑な業務引き継ぎのため、ムアースは7月末まで同社に留まる。
英国のラグジュアリー自動車ブランドは2018年の株式市場上場を経て資金難に見舞われ、ファッション界の大富豪、ローレンス・ストロール率いる投資家コンソーシアムによって2020年に買収された。
ストロールは再建計画の一環として、元日産の最高執行責任者アンディ・パーマーに代えて、メルセデスAMGでCEO兼最高技術責任者を務めていたムアースを引き抜き後任に据えたものの、2年足らずで解任した。
更にアストンマーチンは6月より、フェリーサのフェラーリ時代の同僚、ロベルト・フェデリを新たな最高技術責任者として迎え入れる。
今年2月にはスクーデリア・フェラーリでF1チーム代表を務めた経験を持つマルコ・マティアッチをグローバル・チーフ・ブランド&コマーシャル・オフィサーとして採用しており、フェリーサ及びフェデリの新人事によりアストンマーチン経営陣の顔ぶれは一層赤く染まる事になる。
フェラーリとフェデリは共に、フェラーリ元会長のルカ・ディ・モンテゼモーロの側近だった人物だ。そしてそのモンテゼーモロはストロールのビジネスパートナーでもある。
モンテゼーモロがF1チームを率いていた当時、ストロールは「トミー・ヒルフィガー」と「アスプレイ」を通してスポンサーとなった。また、アストンマーチン買収の際には相談を持ちかけたとも伝えられている。
ムアースの退任については、上級職の相次ぐ退社や電動化計画の一時凍結決定、業績、ストロールとの対立が原因などと噂されているが、いずれにせよ経営陣の顔ぶれがメルセデスからフェラーリへと変化するその様は興味深いものがある。
ストロール自身が認める通り、2026年からのF1参戦に向けてアウディはアストンマーチンに接触した。同じフォルクスワーゲン・グループ傘下のポルシェはレッドブルとの提携が濃厚とみられる一方、アウディは既存チームの買収を目指しているとされる。
資本構成や搭載パワーユニットを含めたメルセデスと密接な関係を思えば、アウディとの提携または売却はあり得ないシナリオのように思われたものの、ムアースが退任となれば当然、メルセデスとの距離は遠のく。
なおF1パドックでの噂の中には、4度のF1ワールドチャンピオンが競争力を欠くアストンマーチンを去るとの見方があり、チームが後任としてアルピーヌのフェルナンド・アロンソに白羽の矢が立てているというものもある。
自動車メーカーとしてのアストンマーチンとしてのみならず、F1チームとしてのアストンマーチンもまた、変革の時を迎える事になるのかもしれない。