フェルナンド・アロンソの3冠目挑戦は2024年まで叶わない? アルピーヌF1が掲げる「100レースプロジェクト」とは?
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フェルナンド・アロンソがアルピーヌで3冠目に挑戦するためには2024年まで待つ必要がありそうだ。少なくとも今後2年間に関してアルピーヌのローラン・ロッシCEOは、チームが一貫して表彰台を狙えるような競争力を発揮する事を期待していない。
今年ルノーからアルピーヌへとリブランドされた英国エンストンのチームは、夏前のハンガリーGPでエステバン・オコンがF1優勝を成し遂げたものの、それ以外のグランプリでは表彰台を争う状況にはなく、16戦を終えてフェラーリとアルファタウリ・ホンダに挟まれるコンストラクターズ選手権5位に甘んじている。
2016年シーズンに先立ちロータスを買収してF1に復帰したアルピーヌ(ルノー)は、5カ年計画の名のもとに人員やインフラを強化し、再びタイトルを手にすべく体制を築き上げてきた。
レギュレーションが一新される来年は更に大きな一歩を歩みだすためのチャンスとなるが、ルノーのルカ・デ・メオCEOを含む取締役会から全権を委任されているアルピーヌのCEOは、世界選手権を懸けて争うレベルに達するためにはまだ数年を要すると述べ、保守的かつ現実的な姿勢を見せている。
ローラン・ロッシCEOはF1公式サイトとのインタビューの中で、トップチームへの返り咲きには長期的な視点が必要だとして「100レースプロジェクト」を立ち上げ、シーズンを経る毎にパフォーマンスを向上させていく計画を明らかにした。
「我々は長期的なプロジェクトを立てている。その目的は2024年にできるだけ多くの表彰台を獲得できるような競争力のあるレベルに到達することだ」とローラン・ロッシは語る。
「現在は5位だが、ロードマップを通して毎年、少しずつ改善していくだろう。4年、4シーズンを視野に入れた『100レースプロジェクト』だ」
「コース上で実際に目に見えるかどうかを問わず、またあらゆる細部を含めて、毎レースを通して進歩しなければならない。そのためには決して立ち止まる事なく、自分たちが正しい方向に向かって進んでいる事を確認できるようにしなければならない」
「来年はコイントスのようなシーズンになるだろう」
「我々が望んでいるのは、(シーズン開幕の)スタート時にトップからあまり離されず満足できるレベルのパフォーマンスを発揮し、そこから頂点に向かって登っていく事だ」
F1に銀の弾丸は存在しない。それはアロンソ自身が良く分かっている事であり、余程のことがない限り、CEO自らが明言する以上、2024年までにアルピーヌが優勝争いに足るだけの戦闘力を持つマシンを用意する事はないだろう。
2度のF1ワールドチャンピオンは2024年に43歳を迎える。ライコネンは41歳で現役を退く。アルピーヌに留まるならば、3度目のタイトルに向けたチャンスは1回限りとなるかもしれない。
コストキャップの導入もあり、F1は各チームの競争力平準化に向けて順調に歩みを進めているが、それでもなお、現在トップを走るチームはインフラへの投資、ノウハウや技術的専門知識の積み重ねという点で利がある。アルピーヌの前に広がるのは長く厳しい戦いだ。
だがグループ・ルノーはF1プロジェクトの成功に長い年月が必要である事を認識しており、ローラン・ロッシに焦りはない。
「我々は野心を持ってこの場に立っている。アルピーヌは世界最大のマニュファクチャラーの一つであり、長期的なコミットメントを掲げている」とローラン・ロッシは語る。
「我々は電動スポーツの分野においてアルピーヌを変革していく計画を持っており、製品開発を進めている」
「これはレース活動を中心に据え、永続的にレースを続けていけるようなビジネスを構築するというもので、このビジネスによって運営資金を賄う事を目指している。つまりは完全に自立・独立したシステムの構築だ」
「ここ(F1)での我々のパフォーマンスが、こうしたストーリーの全体に実質的な意味を与える事になるだろう」