ヒュルケンベルグ、残り10コーナーで入賞奪われるも「価値のある”ファイナルレース”だった」
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ルノーのニコ・ヒュルケンベルグは2019年のF1アブダビGPを「僕にとって価値のあるファイナルレースだった」と評した。将来的に再びF1でステアリングを握るのかどうかは現時点では分からないが、仮にこれがラストランになったとしても、無冠の帝王と呼ばれたドイツ人ドライバーは、悔いなき戦いを楽しんだようだ。
ヒュルケンベルグは前日の予選でQ3に進出。これが彼のラストランを少なからずスポイルした。ソフトコンパウンドのデグラデーションが大きい場合、タイヤ選択の自由がある11番手以降の方が、結果的にトップ10ラスト組よりもアドバンテージを得る傾向にある。
シリル・アビテブール代表は「予選タイヤでのスタートを義務付けている現行ルールが不利に働いた。また、技術的トラブルのためにDRSが使用できない状況の中で、前をマクラーレンに塞がれた事も事態を悪化させた。ダーティーエアーの中でのレースを強いられた事で、更に不利な状況が生まれた」と説明した。
それでもヒュルケンベルグは、適切なタイヤマネジメントによってソフトタイヤでの第一スティントを17周目まで引っ張り、その後ミディアムタイヤに繋ぐワンストップ戦略を着実に遂行。ファイナルラップまで入賞圏内10番手を走行していたが、残り10コーナーというところで、2ストッパーのカルロス・サインツと僚友ダニエル・リカルドに交わされ12番手に後退してしまった。
ポイント獲得での有終の美を飾ることが出来なかったものの、ニュルンベルクはレースを終えて「良い気分だ。何だか開放された感じだね。これで全部終わった」と語った。
「良いレースができて嬉しい。最終的にポイント獲得出来なかったのは残念だけど、僕は全てを投げ打った。1ストップは辛かったね。終盤はタイヤのデグラデーションが酷く、ポジションを守りきれなかった」
「今になって考えると、Q3に進出して中古のソフトタイヤでレースをしなきゃならなかったのが足を引っ張ったようにも思う。11番手以降の連中は僕とは異なる戦略を採用して、それが結果として報われた」
「でも、僕にとっては価値ある最後のレースだった。気分良くフィニッシュラインを駆け抜ける事ができて幸せだったしホッとした。自分のパフォーマンスには満足してる。僕にとっては、区切りをつける上でそれが重要だった。この後、みんなでガレージに集まってビールを飲むのを楽しみにしてる」
ニコラス・ヒュルケンベルグは出走177回、ポールポジション1回、フロントロウ2回、ファステストラップ2回、ポイント獲得94回、Q3進出90回、決勝最高位4位、リタイヤ36回の記録とともに、今シーズン末を以てF1を去る。
この日世界中のF1ファンは、ヒュルケンベルグをドライバー・オブ・ザ・デイに選出した。