トロロッソ・ホンダ、ガスリー&ハートレーで臨むシーズン最終戦…有望な結果で初日を完了 / F1アブダビGPサマリー
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F1世界選手権2018シリーズの最終戦となる第21戦アブダビGPが23日金曜に開幕。トロロッソ・ホンダ勢は旧型スペック2エンジンを背負い、プラクティス1でピエール・ガスリーが11番手、ブレンドン・ハートレーが14番手。プラクティス2でガスリーが11番手、ハートレーが16番手で初日を締め括った。
アブダビのヤス島に位置するヤス・マリーナ・サーキット。関連施設を含め総工費3兆円という巨額の資金が投じられたヘルマン・ティルケ設計のコースで行われるグランプリは、レース中に日没を迎えるトワイライトレースとして知られ、今年で10年目の節目を迎える。
今年からホンダをエンジンサプライヤーとして迎え入れたスクーデリア・トロロッソ。ガレージにはF1視察に訪れた山本尚貴の姿が見受けられた。ガスリーは来季レッドブルへ、ハートレーはシート状況が定かでなく、いずれにしてもこのラインナップで挑むグランプリも今回が最後。ドライバー二人に加えてトロロッソとホンダの両陣営の全員が参加し、フォトセッションが行われた。
現地午後1時、最初のフリー走行は晴れ渡る空の下、気温29℃のコンディションでスタート。レッドブル・トロロッソ・ホンダの2台は、最も柔らかいハイパーソフトタイヤで走行を開始。まずは周回を重ねる事に焦点をあててセッティング作業を進めた。
セッション前半のアタックラップではガスリーが1分42秒041で12番手、ハートレーが1分42秒283で14番手をマーク。セッション残り30分のところで新品タイヤを履き再度アタックに向かった2台は、ガスリーが1分40秒671、ハートレーが1分41秒137と自己ベストを更新した。
その後も2台のSTR13は走行を続けたものの、終盤にガスリーのギアボックスにトラブルが発生。リアから出火し白煙を吹いた事で予定外のピットインを強いられた。この結果ガスリーは走行17周に留まり11番手。一方のハートレーは26周を周回し14番手でセッションを終えた。
ギアボックスに不具合が出たことでエンジンへの影響が懸念されたものの、ホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクターによればパワーユニットへの影響はないという。チームは午後5時からのFP2に向けてギアボックス交換を実施。不具合を解消して2回目のプラクティスへと臨んだ。
徐々に辺りが暗くなり始めたFP2。ガスリーはウルトラソフトタイヤで、ハートレーはスーパーソフトタイヤで走行を開始。セッティングを詰める作業を行った。その後2台はハイパーソフトタイヤに交換し、予選に向けたアタックシミュレーションを開始。ガスリーは1分38秒506、ハートレーは1分38秒957とベストタイムを更新し、そのままハイパーソフトでのロングランを行った。
セッション終盤には、各々最初に走行したウルトラソフトタイヤ、スーパーソフトタイヤに戻してセッティングを進めプログラムを消化。ガスリーはトータル32周を走行し11番手、ハートレーはトータル35周を走行し16番手で初日を締め括った。
トロロッソ・ホンダ:アブダビGP初日
ピエール・ガスリーFP1: 11位, FP2: 11位
両方のセッションで11番手タイムを記録できたから、ポジティブな金曜だったよ。マシンの第一印象は凄く良かったんだけど、トップ10に入るためにはまだ何か足らない状態だから、それを解明して全てをまとめ上げる必要がある。
日曜の決勝で良いレースができるように、明日の予選では最大限のパフォーマンスを発揮しなきゃならない。今夜はセッティングの最適化するために頑張って仕事しなくちゃ。
ブレンドン・ハートレーFP1: 14位, FP2: 16位
全体としてはポジティブな形でレースウイークのスタートを切れたと思う。良い一日だったよ!
今日のセッションは、前回のレースで苦戦した燃料を積んだ状態のロングランでのタイヤマネジメントに重点を置いたんだ。マシンにトラブルが出てしまったから、ハイパーソフトを履いた予選ショートランがちゃんと走れなかったけど、ロングランは本当に良くて期待していた結果が得られた。
レースペースは期待できそうだから、予選に向けて今夜も引き続き準備進めていくつもりだ。
田辺 豊治ホンダF1現場責任者
今日はパワーユニット側には特に大きなトラブルもなく、シーズン最終戦をスムーズな形でスタートする事ができました。
「FP1終了後に問題の可能性があったギアボックスの交換を行いましたが、PU側では特に大きな影響はありませんでした。明日は予選に向けて、さらにセットアップを煮詰めていければと思います。
ジョナサン・エドルズチーフレースエンジニア
前戦ブラジルGPでは予選は良かったものの、決勝では期待したレースペースを発揮することが出来なかった。そのため我々は、ショートランとロングランで何故ペースが違うのかを解明するために努力を重ね準備をしてきた。
今日のセッションでは理解を更に深めるため、先週の解析データを元にテストを行った上で、レースペースを向上させながらもショートランペースを犠牲にしない方向性を探ることに時間を費やした。今回はアグレッシブなタイヤ選択をしていたから、FP1ではハイパーソフトを2セット投入し走行を重ねた。ブレンドンの走行結果によって、我々の分析がほぼ正しい事が証明されたよ。
ところが残念な事に、ピエールの方はセッション終盤の走行時にギアボックスにトラブルが発生してしまった。問題の原因は分かっているものの、リスクを避けるためにFP2に向けてギアボックスを交換することにした。
FP2ではロングラン用のセットアップでショートランを行った際のマシンの最適化に重点を置いた。このセッションは予選及び決勝レースと同じ路面コンディションで走れる唯一のセッションだから、週末の中で一番重要なんだ。ピエールのマシンでは期待した結果が得られたよ。でもブレンドンの方は上手くラップをまとめ上げる事ができなかった。実際にはもっと上のタイムを記録できたはずだ。
予選に向けて今夜やらなきゃならない解析作業が残っているのは明らかだけど、ロングランに関しては過去数戦と比べて改善したと言える状況になってきているし、ショートランでのペースには手応えを感じている。
全てのチームが抱えている大きな問題はハイパーソフトタイヤのグレイニングだろう。このコンパウンドは燃料を積んだロングランの時に特に問題が多く、改善のために打てる手段はほとんどない。10番手と11番手からスタートするドライバーはこの点で大きな違いを抱える事になるだろうから、これがレースの鍵を握る事になるはずだ。興味深いレースになると思う。