下降の一途を辿る中団注目株のアルファロメオ、低迷する2つの理由…直近7戦で僅か1得点
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アルファロメオはハースと並び今季の中団ダークホースとしての活躍が期待されたが、第4戦エミリア・ロマーニャGPをピークに下降の一途を辿り、周冠宇が前戦イタリアGPで10位入賞を果たすまで、直近の6戦レースは無得点が続いていた。
シーズン序盤は好調だった。最初の9レースで稼ぎ出したポイントは計51ポイントに及び、マクラーレンやアルピーヌとコンストラクター4位を争う立場にあったが、その後の7レースでは僅か1点しか加算できていない。
低迷の理由の一つは信頼性不足だ。これまでの16戦で周冠宇あるいはバルテリ・ボッタスがレースをリタイヤした回数は9回に及ぶが、その内の7回はメカニカルトラブルによるもので、大半はエンジントラブルだった。完走率は僅か50%に留まる。
トラブルは特にボッタスに集中している。ICE(内燃エンジン)は6基目、ターボチャージャーとMGU-Hに至っては7基にまで達した。これは最も信頼性が高いメルセデスの2倍に以上に相当するもので、ボッタスは直近7戦で3回しか完走できていない。
トラブルはレースだけでなくプラクティスでも頻発した。走行マイレージの不足は週末に向けての作業が滞る事は勿論、シーズン全体のマシン開発にも影響を及ぼす。開発競争での敗北、特に車両重量というアドバンテージの消滅は大きな痛手だ。
今季型「C42」は798kgという最小重量に収まる唯一のマシンとして知られていたが、ライバル達はアップグレードによって徐々に贅肉を削ぎ落としてきた。
Auto Motor und Sportによるとチーム代表を務めるフレデリック・バスールは、軽量化の程度によるとした上で「ライバルは約コンマ3からコンマ4秒速くなった」と指摘する。
「クルマが確実に速くなる事が保証されている唯一のアップグレードは軽量化だ」
当初から最小重量を達成していたアルファロメオにとって、クルマをこれ以上軽量化する事は規定上、許されなかった。ただ逆を言えば、軽量化以外にリソースを振り分ける事ができる立場であったとも言える。
にも関わらずスイス・ヒンウィルのエンジニアリングチームは、クルマを進化させるような有効なアップグレードを持ち込めていない。
周冠宇はアルファロメオが開発競争で遅れを取っている事を認めている。
「他のチームは新しいパーツの生産が早い。毎週末に新しいアップグレードを持ち込んでいる」と周冠宇は言う。
「僕らの場合は通常(アップグレードが最初に投入される時は)1台だし、フルセットが揃うのには2、3週間がかかる。トリプルヘッダーとなれば、中団の中で生き残るのは難しい」
シーズン6戦を残した今、コンストラクター4位を争うアルピーヌとマクラーレンは遥か彼方にいる。現実的な目標はハース及びアルファタウリに対する6位防衛だが、バスールは鈴鹿サーキットを舞台とするF1日本GPでの導入が予定されているメジャーアップグレードに期待を寄せている。