目立たぬアルピーヌ、A522は速いのか遅いのか? 驚嘆するフェルナンド・アロンソ

バーレーン・インターナショナル・サーキットを周回するアルピーヌA522、2022年3月10日F1バーレーンテストCourtesy Of Alpine Racing

開幕バーレーンGPに向けて評価が分かれるチームの一つがアルピーヌだ。本来であれば規制刷新を機に常勝チームへと復帰して欲しいところだが、トップ3と予想する声は聞こえてこない。中団の上位なのかそれとも下位なのか。見解が分かれる。

2005年と2006年のF1ワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソは、刷新されたレギュレーションを背景に「チャンスを掴める」として、「短・中期的にはチャンピオンシップを懸けて戦えるはず」と強調するが、テストを見る限りは”短期”に期待するのはやや難しそうに見える。

Courtesy Of Alpine Racing

アルピーヌA522に乗り込むフェルナンド・アロンソ、2022年3月12日F1バーレーンテスト

エンストンのチームはバルセロナテストの最終日、開始1時間を待たずにアロンソ駆るA522がリアから炎と白煙を吐いて停車。油圧喪失によるトラブルが原因で1日を棒に振った。

この結果、スペインの英雄擁するこのチームは3日間で走行266周と、チーム別総周回数で8番目に留まった。アルピーヌを下回ったのは信頼性トラブルが続発したアルファロメオとハースのみ。最多439周を稼いだフェラーリの僅か6割に過ぎなかった。

トップをマークしたメルセデスより2段階硬めのC3タイヤであったとは言えタイムシートも控えめで、チームとしての最速はアロンソが最終3日目に刻んだトップから2.104秒遅れの8番手タイムだった。

だが、他のチーム同様にアップデートパッケージを持ち込んだバーレーンテストでは力強い一歩を踏み出した。

初日と2日目にトラブルに見舞われ走行時間を失うも、3日間の通しでは339周を走り込んだ。これはチーム別で見ると総合5番手だが、最多メルセデスの9割近くと決して少なくはなく、2日目にはエステバン・オコンが午前のセッションで最速をマーク。チームファステストとしても、フェラーリにコンマ3秒差の事実上の3番手を刻んだ。

スポーティングディレクターを務めるアラン・パーメインがASに語ったところによるとアロンソは、C3タイヤを履いた状態ながらも早々にクルマの速さを実感し「わお!このクルマは速い!」と感嘆したそうだ。

チームはサスペンションやキャンバー等、セットアップを調整することでポーパシングに対処し、バーレーンテストを通してクルマを「格段に改善」させた。パーメインはバーレーンGPに向けて「ポールポジションを期待してるとは言わないが、予選Q3で戦える事を願っている」と語った。

アロンソはバルセロナからバーレーンに掛けてクルマが進化した事を認めた上で「特に初戦では更に良くなると楽観的に考えている」と述べ、開幕戦でのサプライズに期待を示している。

「このクルマは高温でも問題なく上手く機能している。バーレーンはバルセロナとは特性が異るものの、冷却システムにもブレーキにも、何も問題はなかった」

パーメインによるとアルピーヌは今週末のバーレーンGPで新型フロアを投入する。また、第4戦マイアミGPか第5戦スペインGPに今季初の大型アップグレードパッケージを計画していると言う。

Courtesy Of Alpine Racing

アルピーヌのオトマー・サフナウアー代表、2022年3月10日F1バーレーンテスト

今季のアルピーヌの競争力はアロンソの去就を左右する可能性がある。今年の7月29日に41歳の誕生日を迎えるスペイン人ドライバーとチームとの契約は2022年末で失効する。

例え2022年シーズンにタイトルを争えなくとも、来季に活路を見い出せるのであればアロンソは留まる意向を示すかもしれない。だがそうでなければF1でのキャリアに終止符を打つというシナリオもあり得る。

チームとしても期待の星、リザーブドライバーのオスカー・ピアストリを2年も遊ばせておきたくはないはずで、アロンソが去るというのであれば無理に引き止めたりはしないだろう。

今季はシーズンを通しての開発競争が大きなファクターとなるため、アロンソが序盤の段階で早々に結論を下す事はないだろうが、いずれかのタイミングで来季を含めた将来の計画を決める必要がある。まずは第4戦か5戦のアップグレードの成果が注目される。

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