スーパーアグリF1マシン、シミュレーターに改造されてイベント出張…第二の人生でも人々に夢を

スーパーアグリF1チームの2006年型F1マシンSA05の後継SA06をドライブする佐藤琢磨copyright Honda Motor Co., Ltd.

日本のF1ファンを熱狂させたスーバーアグリF1チームのマシンは撤退後の現在、時速300kmオーバーでサーキットを駆け抜ける事はないものの、今もなお人々に夢と感動と楽しみを与えているようだ。

スーバーアグリのマシンを改造して制作された最新鋭のシミュレーターが、クラシックカーやスーパーカーなど、あらゆる種類の4輪・2輪を扱うイギリスの自動車専門オークションハウス「シルバーストン・オークション」に出品されている。2006年のF1世界選手権で実際に使用されていた本物の車体だという。


© Honda Motor Co., Ltd.

スーパーアグリは元F1ドライバーの鈴木亜久里がホンダからリソース供給を受けて2005年に設立したコンストラクターで、佐藤琢磨と井出有治を起用して2006年のF1に初参戦を果たし、2008年のスペインGPを以て撤退するまで39レースに出走した。チーム国籍は日本であったが、本拠地はイギリス・オックスフォードシャー州リーフィールドに置かれ、元アロウズのファクトリーを使用していた。

ノーポイントに終わった初年度を終えて、チームは井出有治の代わりに英国出身のアンソニー・デビッドソンを起用。この年はエースドライバーの佐藤琢磨がスペインとカナダで2度のトップ10入りを果たし、スパイカーを交わしてコンストラクター9位でシーズンを終えるなど、成長を遂げたシーズンとなった。

ところがスポンサー料の未払いが大きく響く形で財務面が悪化。2008年の第4戦を終えたところでF1から撤退した。チームはその後破産し、所有資産はオークション等によって売却された。このシミュレーターはイギリスの「1st Place Events」という組織が所有しており、主に結婚式やプライベートパーティーに貸し出されていたが、このたび競売にかけられた。

ベースとなった車体は、2002年にマイク・コフランが設計したアロウズA23を流用して制作された「SA05」とみられる。デビュー戦から第11戦フランスGPまで使用された貴重なものだ。

シミュレーターは55型モニターに接続され、2019年仕様の最新ソフトウェアによって幾つかのサーキットでの走行が可能だという。また、様々な体型の人が楽しめるようにコックピットは拡大され、ステアリングとペダルは振動フィードバック対応のものに換装。エアインテークはスピーカーとして利用され、BBS製ホイールにブリジストンタイヤを履いている。

この記事をシェアする

モバイルバージョンを終了