メルセデスF1、キングスパン社との提携に対する批判を受け謝罪…被害者と遺族への面会申し出る
Published: Updated:
メルセデスF1チームのトト・ウォルフ代表兼CEOは、キングスパン社とのパートナーシップ締結に対する批判を受け、グレンフェル・タワーで発生した火災事故の被害者と遺族に謝罪した。
メルセデスはF1第21戦サウジアラビアGPの開幕に先立ち、アイルランドの建築資材会社キングスパンとのスポンサー契約締結を発表。W12に同社のロゴが掲げられた。
更に、モータースポーツにおける二酸化炭素排出量削減を目指すメルセデスの内部組織「サステナビリティ・ワーキンググループ」にキングスパンが参加する事が合わせて明らかにされた。
これに対し、市民団体「グレンフェル・ユナイテッド(Grenfell United)」とイギリスのマイケル・ゴーブ住宅担当国務長官が批判の声を上げた。同団体は2017年6月にロンドン西部の高層住宅「グレンフェル・タワー」が火災に見舞われた際の被害者や遺族から構成されたグループだ。
4年前の6月14日、西ロンドンのノース・ケンジントンにある24階建ての高層アパート「グレンフェル・タワー」で火災が発生。計74名が死亡し、70人以上が負傷した。第二次世界大戦以降としては英国史上最悪の住宅火災事故となった。
グレンフェル・タワーにはキングスパンの断熱材が使われており、それが被害拡大の原因になった可能性があるのかどうか、また同社に責任があるのかどうかについて、現在審理が行われている。
グレンフェル・ユナイテッドはトト・ウォルフ宛の書簡の中で、キングスパンとの提携は「人命よりも利益を優先」する姿勢の表れであり「本当にショッキング」等として、パートナーシップの解除を求めると共に「”いつもの事”では済まされない。F1に倫理や価値観が存在する事を、そして行動には結果が伴うことを示して頂きたい」と強く迫った。
これに対してトト・ウォルフは声明を発表し「今回の発表によって更なる傷を負わせてしまった事を心からお詫びしたい。意図したことではなかった」と謝罪した。
トト・ウォルフは火災の原因究明の重要性を指摘した上で、キングスパンがグレンフェル・タワーにどのような形で関与したのかについて直に説明を受け、状況を理解した上で契約を結ぶ判断を下したと説明した。
「キングスパン社からは、グレンフェル・タワーの外壁被覆の設計・施工には一切関与しておらず、建築規制に準拠していない安全ではないシステムの一部に、同社の与り知らぬところで同社の一部の製品が代替品として使用されていたと聞いている」
「私は、皆様が被った恐ろしい悲劇や、皆様のコミュニティが抱えている深く継続的な痛みが、このような事で変わるものではない事を理解している。そして、私がより理解を深めるために、直接会うことを申し出てくれたグレンフェル・ユナイテッドに感謝したい。出来るだけ早くお会いしたいと思っている」