2019年インディ500決勝結果:佐藤琢磨、周回遅れからの大逆転3位!パジェノーが初優勝

第103回インディ500を制したチーム・ペンスキーのシモン・パジェノーcopyright Indycar

2019年NTTインディカー・シリーズ第6戦インディアナポリス500マイルレースが、5月26日(日)にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で行われ、チーム・ペンスキーのシモン・パジェノーがポール・トゥ・ウイン。初優勝を果たした。

5列目真ん中の14番グリッドからスタートしたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は、ピットトラブルによって一時は周回遅れ31番手にまで後退するも、燃費戦略と粘り強い走りを継続。その結果、他車のアクシデントによって訪れたチャンスをモノにして、アレキサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポーツ)に次ぐ3位フィニッシュを果たす大逆転劇を演じた。

インディ500は毎年、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)前日の日曜日に開催され、スタート前には盛大なドライバー紹介や追悼儀式が行われる。今年は歌手のケリー・クラークソンが昨年の第102回大会に続き、2年連続で国歌斉唱を担当した。

一時は雷雨が心配されるも、レースはドライコンディションのもと、定刻通りにグリーンフラッグを迎え、33台のマシンが1周2.5マイルのオーバルコースを200周、距離にして500マイル=804.672kmで競い合った。

注目のオープニングラップは大きな混乱なく、佐藤琢磨はマルコ・アンドレッティを交わして13番手に浮上。好スタートを切った。6周目には、ホンダ勢最上位5番手からスタートしたコルトン・ハータが、ギアトラブルのためにターン4でマシンストップ。早くも1度目のフルコースイエローとなった。レースは11周目にリスタート。佐藤琢磨はエリオ・カストロネベスを抜き去り11番手に浮上した。

最初にピットが動いたのは33周目。ラップリーダーのパジェノーがいち早くピットイン。これにジョセフ・ニューガーデンとウィル・パワーらペンスキー勢が続き、シボレーエンジンを搭載するチームが早々にピットに入った。シボレー勢はスピードこそ高かったものの、燃費的に厳しい状況に置かれていた。

ホンダエンジンを積む佐藤琢磨は、第一スティントを引っ張り37周目にラップリーダーに躍り出た後、その翌周にピット作業を行うも作業ミスで大きくタイムロス。更に、コースに復帰すると時速20マイル近くもペースがダウンしていた。

その理由はタイヤチェンジャーのトラブル。右リアタイヤの取り付けに問題があったため、ラップダウン覚悟の上で翌々周に再度ピットへと向かった。これによってレース序盤に早くも周回遅れ。31番手にまで後退する厳しい展開となった。

まずはトップ同一周回に復帰する事が第一。佐藤琢磨は前走車のスリップストリームを利用して燃費を稼ぎ、コース上に長く留まる作戦を敢行した。(注:佐藤琢磨はレース後「once we went laps down =一旦2周遅れになった」と語っているが、チームのプレス及びデータ上で確認したところ、実際には1周遅れであった)

レース中盤に差し掛かった73周目。フェルナンド・アロンソをバンプアウトして決勝グリッドを獲得したカイル・カイザーが単独クラッシュ。グリップを失いアウト側のウォールにヒットしたため、2度目のフルコースイエローとなった。

3度目のイエローは138周目。ピットに向かったマーカス・エリクソンが、レーン手前でブレーキを踏んだ際にバランスを崩してクラッシュを喫した。各車ピット作業に向かう中、燃料節約に励んでいた佐藤琢磨はステイアウトを選択。元F1ドライバーの事故が追い風となり、見事141周目にトップ同一周回=ラップバッグを果たし、18番手に浮上した。

レースは148周目にリスタート。他と異なるシーケンスにあった佐藤琢磨は、前走車のピットストップによって177周目にラップリーダーに浮上。翌178周目にピットに入った直後、最終ターン4で複数台が絡む大きなクラッシュが発生した。

グレアム・レイホールがイン側からセバスチャン・ブルデーに仕掛けたところ、ブルデーがイン側に寄せたため接触。このインシデントにザック・ビーチとフェリックス・ローゼンクビストが巻き込まれた。バリアの修復とコース上のデブリ清掃及びマシン撤去のためにレッドフラッグ。これが佐藤琢磨に起死回生のチャンスを与えた。

18分間の中断を経て、コーションラップ2周目にピットがオープン。 佐藤琢磨はロッシ、パジェノー、エド・カーペンター、ニューガーデンに次ぐ5番手に浮上。一気に形勢逆転を果たしたが、燃費的に非常に苦しい立場に置かれていたパジェノーらシボレー勢もまた、赤旗の利を得た格好となった。

レースは残り14周のスプリントレース。リスタートするやいなや、佐藤琢磨はカーペンターを交わして4番手に浮上。その後は残り9周でニューガーデンをオーバーテイクし3番手に浮上した。だが、クルマには先行する2台を捉えるほど力はなく、追撃はここで終りを迎えた。

ロッシとパジェノーはトップの座をかけて激しいバトルを繰り広げ、目まぐるしくラップリーダーが入れ替わる展開となった。ラスト3周でロッシがパジェノーをオーバーテイク。このまま逃げ切るかに思われたが、200周を通して圧倒的なスピードを発揮してきたパジェノーが、その翌周にトップを奪還。そのままトップチェッカーを受けた。

2019年 第103回インディ500決勝順位結果

Pos. Start Driver Gap
1 1 シモン・パジェノー
Team Penske
–.—-
2 9 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
0.2086
3 14 佐藤琢磨
Rahal
0.3413
4 8 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
0.8979
5 6 ウィル・パワー
Team Penske
1.6173
6 2 エド・カーペンター
Ed Carpenter
1.979
7 23 サンティノ・フェルッチ
Dale Coyne
2.8055
8 22 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
4.0198
9 16 トニー・カナーン
AJ Foyt
4.7708
10 11 コナー・デイリー
Andretti
5.3459
11 32 ジェームズ・ヒンチクリフ
Schmidt Peterson
5.4821
12 15 ジェームス・デイビソン
Dale Coyne
6.225
13 4 エド・ジョーンズ
Ed Carpenter
7.55
14 3 スペンサー・ピゴット
Ed Carpenter
8.5566
15 24 マテウス・レイスト
AJ Foyt
10.4153
16 30 ピッパ・マン
Clauson Marshall
12.9803
17 18 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
14.7595
18 12 エリオ・カストロネベス
Team Penske
1 lap
19 31 セージ・カラム
Dreyer & Reinbold
1 lap
20 21 JR.ヒルデブランド
Dreyer & Reinbold
1 lap
21 25 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank (SPM)
1 lap
22 19 オリオール・セルビア
MotoGator Stange (SPM)
1 lap
23 13 マーカス・エリクソン
Schmidt Peterson
2 lap
24 26 ジョーダン・キング
Rahal
2 lap
25 20 チャーリー・キンボール
Carlin
4 lap
26 10 マルコ・アンドレッティ
Andretti
5 lap
27 17 グラハム・レイホール
Rahal
24 lap
28 29 フェリックス・ローゼンクビスト
Chip Ganassi
24 lap
29 28 ザック・ビーチ
Andretti
24 lap
30 7 セバスチャン・ブルデー
Dale Coyne
24 lap
31 33 カイル・カイザー
Juncos
129 lap
32 27 ベン・ハンリー
DragonSpeed
146 lap
33 5 コルトン・ハータ
Harding Steinbrenner
197 lap

2019年シーズンのインディカー・シリーズは、例年通りCS放送のGAORA SPORTSで生放送される。視聴にはスカパーやひかりTVとの契約が必要となる。

スカパー!WEBサイト

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