イモラ・サーキットのホームストレート、2020年F1エミリア・ロマーニャGPにて
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イモラ・サーキット

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サーキットデータ
サーキット名イモラ・サーキット
所在国イタリア
住所Piazza Ayrton Senna da Silva, 1 40026 Imola, Italia
設立年1953年
設計改修時:ヘルマン・ティルケ
全長 / コーナー数4,909m / 21
周回数63
ピット長 / 損失時間529m / 24秒
ターン1までの距離*1605m
平均速度209.4km/h
最高速度329km/h
エンジン負荷と全開率*2 73%
タイヤ負荷レベル
ダウンフォースレベル
グリップレベル
変速回数40回/周
SC導入率100%
ウェット確率13%
WEBサイト www.autodromoimola.it
SNS instagram

*1 ポールポジションから最初の制動地点までの距離
*2 全開率は距離ではなくタイムベースで算出

イモラ・サーキットとは(英:Imola Circuit)、イタリアのイモラ市にあるサーキット。イタリア語での正式名称はアウトードロモ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(Autodromo Internazionale Enzo e Dino Ferrari)で、フェラーリ創業者のエンツォ・フェラーリとその息子のディーノを記念して名付けられた。創業者1953年。1989年のエンツォの死を機に、アウトードロモ・ディーノ・フェラーリから改称された。

1国1開催を原則とすることになった2007年以後、F1イタリアGPの舞台はモンツァ・サーキットへと移った。F1カレンダーから脱落した後、ヘルマン・ティルケ監修のもと全面改修された。

これによりイモラは、F1のテスト走行ができる「グレード1T」認証へと格下げされたものの、2011年に再度、FIAの最高認証ライセンス「グレード1」の格付けを取得。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で再編が行われたF1カレンダー入りを目指して、2020年にライセンスを更新し、第13戦F1エミリア・ロマーニャGPの舞台として14年ぶりにF1に復活した。

イモラ・サーキットのピットビル、2020年F1エミリア・ロマーニャGPにて
© Red Bull Content Pool

イモラ・サーキットで開催されたF1 Clienti/XX Programmes

かつてはF1を始めとしてGP2シリーズやMotoGP、世界ツーリングカー選手権(WTCC)、ルマン・シリーズ等の選手権が開催された。現在(2020年)はフェラーリ・チャレンジ、イタリアF4、スーパーバイク世界選手権、フォーミュラ・ルノー・ユーロカップなどをホストしている。

コースレイアウト

イモラ・サーキット(F1エミリア・ロマーニャGP)の2022年版コースレイアウト図copyright Formula1 Data

イモラ・サーキット(F1エミリア・ロマーニャGP)の2022年版コースレイアウト図

全長4,909mの内の71.39%(約3,505m)がストレートで、右コーナーが9.81%(約482m)、左コーナーが18.77%(約921m)という構成のレイアウト。ただし各ストレートの長さが短いため、冷却に使える時間が少なくブレーキに厳しい。

反時計周りはF1カレンダーの中では珍しく、インテルラゴス、バクー、COTA、ジェッダ、マリーナベイ、ヤス・マリーナと、2021年シーズンの中では7つのみだ。

特徴

隠れたハイスピードトラック

平均速度は200km/hと、2021年のF1カレンダーの中ではシルバーストーン(約205km/h)、鈴鹿(約210km/h)に次いで3番目に高い。

ラップタイムの約73%はエンジン全開で、これもカレンダーの中でトップレベル。これには最終コーナーの出口からターン2のブレーキングまでの約15秒間が含まれる。

路面グリップが高くコーナー出口が直線的であるため、コーナー脱出の加速度(gLongフォース)平均が1.5Gと、こちらもシーズンを通じて最も高い。

イモラ・サーキットを走行するレッドブル・ホンダRB16、2020年F1エミリア・ロマーニャGPcopyright Red Bull Content Pool

イモラ・サーキットを走行するレッドブル・ホンダRB16、2020年F1エミリア・ロマーニャGP

多様なコーナー、セットアップの妥協

コーナーの種類や通過速度が多岐に渡るため、マシンの作動領域を広範に確保する必要がある。これはソチ・オートドロームのように全てのコーナーが似通った速度となるサーキットとは正反対だ。

また、路面もかなりバンピーで大型の縁石もあるため、ドライバーやマシンに対する影響が大きい。様々な速度域のコーナーでパフォーマンスを発揮させるため、という事のみならず、乗り心地(ショック吸収)と空力との間においても上手くバランスを取らなければならず、セットアップ面での妥協が必要だ。

イモラ・サーキットのコース
© Pirelli & C. S.p.A.

困難なオーバーテイク

近代的なサーキットとは異なりコース幅が狭くオーバーテイクが難しい。過去28回のレースの内、ポール・トゥ・ウインは9回と、予選順位が決定的な意味を持つ。そのため、予選ポジションと戦略が重視される。イモラ以上に追い抜きが難しいのはモナコとシンガポールのみだ。

ピットレーンは528メートルとF1カレンダーの中で最も長く、ロスタイムが約24.8秒と非常に大きいため、基本的にチームは1ストップ戦略を取る事になる。

オーバーテイク リタイヤ
通常 DRS 接触 機械的問題
2021年 24回 10回 3台 0台
2020年 1回 3回 2台 3台

魔の1994年サンマリノGP

イモラを語る上で避けて通れないのが1994年のサンマリノグランプリだ。そう、アイルトン・セナが、ローランド・ラッツェンバーガーが事故死したあのグランプリだ。

  • フリー走行、ジョーダンのルーベンス・バリチェロがコースアウトし横転。鼻骨を骨折。
  • 予選、シムテックのローランド・ラッツェンバーガーのマシンのフロントウイングが脱落。時速300km/hでコンクリート壁に激突し死亡。
  • 決勝、ベネトンのJ.J.レートにロータスのペドロ・ラミーが追突。壊れたパーツが観客席に飛散し数名が怪我。
  • 決勝、上記クラッシュによるセーフティーカー退出直後1周目にウイリアムズのアイルトン・セナがクラッシュ。帰らぬ人となる。
  • 決勝、ピットインしたミケーレ・アルボレートのリヤタイヤが外れ、ロータス・フェラーリのピットクルーに直撃し重傷。

セナが死亡事故にあったタンブレッロ・コーナーの近くには、故人を偲ぶ銅像が建てられており、その周りにはファンによる手書きのメッセージや献花、ブラジル国旗、ポスターや帽子などが絶えず飾られている。このモニュメントがあるエリアには無料で入る事が出来る。

タンブレッロ・コーナー脇に設置されたアイルトン・セナの銅像
© Red Bull Content Pool

タンブレッロ・コーナー脇に設置されたアイルトン・セナの銅像を見つめるレーシング・ポイントF1チームのセルジオ・ペレス、2020年F1エミリア・ロマーニャGP
セナの銅像を見つめるレーシング・ポイントF1チームのセルジオ・ペレス、2020年F1エミリア・ロマーニャGPにて / © Racing Point

タンブレッロ・コーナー脇に設置されたアイルトン・セナの銅像 拡大
© Red Bull Content Pool

コースレコード

2020年のカレンダー復帰まで、決勝レースで計測される史上最速の”ラップレコード”は2006年にフェルナンド・アロンソ(ルノー)が記録した1分24秒795、”コース・レコード”は同じ2006年にミハエル・シューマッハ(フェラーリ)が予選で記録した1分22秒795であったが、いずれも9秒近く更新される事となった。

タイム ドライバー チーム
ラップレコード 1:15.484 ルイス・ハミルトン メルセデス 2020年
コースレコード 1:13.609 バルテリ・ボッタス メルセデス 2020年

改修の歴史

再開発計画の一環としてコース及び周辺施設の改修が2006年11月に開始され、2007年9月に完成した。

更に2009年夏には、国際モーターサイクル連盟のホモロゲーション要件を満たすためにピットレーンの前のシケインに調整が加えられた。また、2011年8月にはコースの70%を対象として路面の再舗装工事が行われている。

現在はシケインのタンブレッロだが、かつては危険な超高速コーナーであった。

1987年にはネルソン・ピケが、1989年にはゲルハルト・ベルガーが、1992年にはリカルド・パトレーゼがぞれぞれクラッシュを喫し、そして1994年にはアイルトン・セナがレース中の事故によって死亡。その前日に行われた予選でローランド・ラッツェンバーガーが死亡した事と合わせて、タンブレッロとヴィルヌーブはそれぞれシケインに改修された。

サーキット豊富なエミリア・ロマーニャ州

エミリア・ロマーニャ州には5つものサーキットが存在する。イモラはその中で唯一F1が開催されたサーキットだ。

ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ(4.226km)は定期的にMotoGPが開催されているコースで、ダラーラが建設したリカルド・パレッティ・サーキット・イン・ヴァラノ・デ・メレガリ(2.360km)は主にテストに使われている。

2011年にオープンしたモデナ・サーキット(2.007km)は、主にドライビング・スクールとして使用されており、地元ドライバー達が自家用車を持ち込んで走行を楽しんだりする。

1972年オープンのフィオラノ・サーキットは8の字レイアウトが特徴の2.976kmのフェラーリが所有するテストコースで、過去半世紀に渡ってマラネロで製造された全てのレースカーとロードカーの初走行の場となってきた。

サーキットの場所と航空写真

写真

グラベルに飛び出るメルセデスAMGペトロナスF1チームのバルテリ・ボッタスと、後方からチャンスを伺うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2020年F1エミリア・ロマーニャGP決勝レースにてcopyright Red Bull Content Pool

グラベルに飛び出るメルセデスAMGペトロナスF1チームのバルテリ・ボッタスと、後方からチャンスを伺うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2020年F1エミリア・ロマーニャGP決勝レースにて

夕焼け時のイモラ・サーキットを走行するアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー、2020年F1エミリア・ロマーニャGP予選にてcopyright Red Bull Content Pool

夕焼け時のイモラ・サーキットを走行するアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー、2020年F1エミリア・ロマーニャGP予選にて

イモラ・サーキットで開催された2019年イタリアF4選手権第5戦

イモラ・サーキット

イモラ・サーキットで開催された2019年イタリアF4選手権第5戦