レッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2020年11月10日にトルコのイスタンブールで行われたショーランイベントにて
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アレックス・アルボン、2022年のインディカー参戦を検討…現地視察でグロージャンやチームオーナーと会談

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レッドブル・ホンダのリザーブドライバーを務めるアレックス・アルボンが2022年の新規参戦を視野に、8月13~14日にインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で開催されたインディカー第12戦の視察に訪れた。

昨季末を以てセルジオ・ペレスにシートを奪われた25歳のタイ人ドライバーは、F1と現在参戦中のDTMのサマーブレイクを利用して米国へと飛び、イベント初日金曜にIMSに到着。関係者達と話を交わした。

インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)、2021年8月13日に行われたインディカー第12戦ビッグマシン・スパイクド・クーラーズGP公式予選にてCourtesy Of INDYCAR

インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で2021年8月13日に行われたインディカー第12戦公式予選にて

アルボンはインディカー公式サイトとのインタビューの中で、2022年の目標は依然としてF1復帰である事を強調しながらも、北米最高峰のオープン・ホイールには「昔から興味を抱いていた」と述べ、復帰が実現しなかった場合の代替プランを検討するために現地観戦に訪れたと説明した。

「この目で見ておきたかったんだ」とアルボン。

「一番の目標はF1に出る事だけど、実現の可能性が100%じゃないから他にどんな選択肢があるのかを知っておく必要があったんだ。プランBとCを用意しておかなきゃならないからね」

「インディカーには前々から興味を持っていた。注目度も視聴率も上がってきているしね」

「正直に言って、(現段階でインディカーが)自分のやりたい事かどうかを判断するのは難しい。今は幾つかのチームに注目している。彼らと話をしてどんな可能性があるのかを知った上で、どうするのかを決めたい」

「もし良いチャンスがあれば、もしくはF1でチャンスに恵まれずインディカーで良いチームとの素晴らしい機会があるならば、そしてこの数日の間に僕自身が楽しめそうな感触を得る事になれば、間違いなく(インディカーへの参戦の)確率は高まると思う」

F1復帰が叶わなかった場合の代替プランの一つは日産e.damsからのフォーミュラE転向と見られている。

当初アルボンは2019年に日産からフォーミュラEに参戦する事が決まっていたものの、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコから土壇場でオファーを受け、トロロッソからF1デビューを果たした。

アメリカへと降り立ったアルボンは第12戦インディGPのプラクティスを前に、昨年までハースからF1に参戦していたロマン・グロージャンと会い、その後、グロージャンの新たな雇い主であるチームオーナーのデイル・コインやリック・ウェアと話を交わした。

更にレッドブル・アドバンスト・テクノロジーが設計したエアロスクリーンを体験すべく、コーディー・ウェア駆る52号車のコックピットに座るチャンスを得た。

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アルボンはインディカーへと転向して成功と幸せを掴んだかに見えるグロージャンの存在が今回の視察の動機の一つになったと明かした。

「ロマンに会い、彼が実際にやっている事を目の当たりにして凄く興味をそそられた」

「彼が何を考えているのかを知りたかったんだ。彼が幸せかどうかだって? 当然、幸せだろうね。常に笑顔が絶えないし」

「彼にとって今回の転向がどうだったのか、インディカーに参戦してどう感じたのかに興味があった。彼はここで本当に気分良く過ごしているように見える」

インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)を走行するデイル・コイン・レーシングのロマン・グロージャン、2021年8月13日に行われたインディカー第12戦ビッグマシン・スパイクド・クーラーズGP公式予選にてCourtesy Of INDYCAR

デイル・コイン・レーシングのロマン・グロージャン、2021年8月13日に行われたインディカー第12戦公式予選にて

インディカー・シリーズはフェルナンド・アロンソのインディ500参戦によってヨーロッパで高い注目を集める事となり、更にはグロージャンの参戦と活躍を経て、ヨーロッパに活動の拠点を置くドライバー達にとってより魅力的な選択肢の一つとなった。

実際インディGPでは、アルピーヌF1のジュニアドライバーであるクリスチャン・ルンガーがレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからデビューを果たし、前戦ナッシュビルではフェラーリジュニアのマーカス・アームストロングが現地に足を運んでいる。

アルボンが現地インディアナポリスを訪れ、将来の参戦について前向きな意向を示した事は真剣に検討している事の表れと言えよう。アルボンの2022年F1復帰の見通しは芳しくない。

レッドブル、外部起用含めペレスの後任検討

アルファタウリ・ホンダはチーム代表のフランツ・トストがピエール・ガスリーと角田裕毅の続投を希望している事もあり、2022年に向けてシートに空きが出る可能性は低く、またレッドブル・ホンダのシートはセルジオ・ペレスが放出されない限り空くことはない。

メルセデス昇格が確実視されているジョージ・ラッセルの後任としてウィリアムズで復帰するというシナリオもないではないが、バルテリ・ボッタスやニコ・ヒュルケンベルグ、ダニール・クビアトや周冠宇、ニック・デ・フリースなど、多くの名が取り沙汰されており非常に狭き門と言える。