ウェット

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ウェットとは、路面が雨で濡れている状態のこと指す用語のこと。レースで使用される晴天用のレースタイヤには基本的には溝が一切ないため、ウェット状態になってしまうとグリップがなくなってしまう。(晴天用の溝があるタイヤもある)そのため恐ろしいまでに滑りやすくなり、路面とタイヤとの摩擦がゼロに近い状態にまで悪化するのでスピードも出ない。ドライからウェットに天候が変わると、大体レースは荒れてくる。

タイヤ選択の難しさ

レース前から雨が降っている分には問題ないが、途中で雨が降ってきてウェットになってしまったりするとレースはどんでん返しの様相を帯びることになる。昨今の天気予報技術の発展によって、全く予期しない雨が降るということは皆無に近く、雨が降る場合は事前に予想がついているものだ。ただし1秒単位で正確に予想がついているわけではない。

レースタイヤには雨用のウェットタイヤ晴れ用のドライタイヤがあるが、ほんの少量の雨であればドライタイヤで走れてしまうしその逆もまた然りである。ウェット状態になったからといって、ドライタイヤとウェットタイヤのどちらの方が速いタイムが出せるかというのは、雨の量や路面温度などによって全く異なってくるし、タイヤ交換のためにはピットインしなくてはならず、そのための時間も考慮しなくてはならない。見極めが極めて難しいのだ。

wet race f1 photocreativeCommonsJaffa The Cake

雨が降ってきたからといって速くタイヤ交換しずぎてもダメだし、遅くてもダメ。「ここぞ!」というタイミングで交換する必要があるし、交換しないほうが良い場合すらある。だからこそレース中のウェットコンディションは誰もがドッキドキの波乱万丈発生機となるのだ。

レースをTV観戦する側としては、レーススタート時はドライでスタートして頂いて、レースの途中に急に雨が降るなどしてウエットになって頂けると最高この上ないのだが、ドライバーやチームそして現地観戦の場合には全くもって御免被りたいのところである。

ウェットならではの走行ライン

通常ドライバーは「レーシングライン」と呼ばれる最も速く走れるであろう理想的なラインを求めて走行するため、どのドライバーもおおよそ似たようなコースラインを走行する。ただし、ウェットレースになると、ストレートを走行しているのに、突然左右にマシンをふったりするような動きが見られる。あれは一体なんなのであろう?

ウェットタイヤはウェットが好き

ウェットタイヤは路面に雨が溜まっていることを想定して製造されるタイヤであるため、雨の乾いてしまったところや、雨の量がすくないところは大嫌いなのである。人間もそうだが、嫌いなものを無理やり我慢していると疲弊してくるのと同様に、ウェットタイヤもまた雨の量が少ないところを走り続けていると急激に摩耗してしまい使い物にならなくなってしまうのだ。

そのため、ウェットなんだけど乾いてきつつある路面コンディションの時などは、タイヤを守るために敢えてレーシングラインではなく雨の溜まっている場所を走行したりするのだ。その方が結果的に速いから、である。