松下信治 F1テストレポート「全力でタイム計測すれば1秒は速く走れた」スーパーフォーミュラの走行経験活かすcopyright HONDA

松下信治 F1テストレポート「全力でタイム計測すれば1秒は速く走れた」スーパーフォーミュラの走行経験活かす

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ザウバーからF1ハンガリーテストに参加した松下信治は、予選アタックが許可されていれば1秒は速いタイムを残せただろう、と主張し、同チームから出走したスウェーデン出身の21歳グスタフ・マルジャをコンマ5秒上回るラップタイムを記録できたと示唆した。

「もしパフォーマンスラップを走る事ができていれば、僕のドライビングの強みであるレイト・ブレーキングによって1秒速いタイムが出せたんじゃないかと思います。でも(アタックできなかった事には)全くガッカリしていません」

マクラーレン・ホンダF1のテストドライバーを務める松下は、8月2日(水)のF1合同テストの2日目を担当し、総合成績で21人中21番目となる最下位のタイムに甘んじた。だが、松下に用意されたのは15周毎のロングランに焦点を当てたプログラムであり、”真の速さ”を測るアタックラップは実施されなかった。

コンストラクターズ最下位のザウバーC36の戦闘力を考えれば、タイムシート最下部はやむを得ないものの、松下は前述のマルジャに0.495秒の差をつけられていた。仮にラップタイムが1秒速かった場合、松下はマルジャを追い抜き、レッドブルのマックス・フェルスタッペンより1つ上の19位までポジションが上がる計算となる。

全てがF2とは異なる高次元

今年名門ARTグランプリからF2シリーズに参戦している松下は、初めてのF1体験を終え、両者はあらゆる点で別次元だと感想を述べた。

「子供の頃からこの瞬間を待っていたので、ついにその時が来たかという感じでしたし、凄いドキドキしましたね。F2で慣れ親しんでいたものと比べると、全ての次元が高く感じました。ガレージ、チーム、データ、そして準備に至るまでの全てが別レベルだったんです」

レギュレーションの大幅な変更によって、2017年のF1マシンはワイドなフォルムを身にまとい、グリップレベルの高い幅広タイヤを履いている。これによってダウンフォース量は30%近くも増え、コーナリング速度とブレーキング力が大幅に向上した。

「すごく幅が広く見えるのですが、コース上で走っている時には何も問題は感じませんでした。モナコのような狭いサーキットであれば、少し違うでしょうけどね。モンテカルロはF2で走っていても壁がとても近くに感じますから、F1ではかなり難しいチャレンジになると思います」

コックピットに座る松下信治
© HONDA コックピットに座る松下信治

「予想していたよりタイヤの熱入れが難しかったのですが、F2でのレースにおけるタイヤマネジメントよりは簡単でした。通常、長距離走行やレースにおいてはタイヤをいたわる必要がありますが、今日はタイヤのマネジメントにはフォーカスしていなかったので。もしレースであれば、ドライビングを少し変えることで対処できたんじゃないかと思います」

身体的には問題なし、高速コーナーはSFのよう

コーナリング速度の向上によって、F1ドライバーにはこれまで以上のサイドフォース(横向きにかかる力)に耐える肉体が要求される事になった。時にそれは5G、6Gといった域に達する。これは、ドライバーの体重が70kgの場合、その体に420kgもの負荷がかかることを意味する。

世界最速のコーナリングスピードを発揮するF1マシンだが、松下は走行中の身体的な問題は皆無であったと明かす。日本のトップカテゴリであるスーパーフォーミュラの2016年公式鈴鹿テストに参加し、F2よりも速いコーナリング速度を体験した事がF1の予行練習になったようだ。

ザウバーC36を駆る松下信治
© HONDA ザウバーC36を駆る松下信治

「121周を走り終えて6リットルも水を飲みました!それだけの量が汗で出ていってしまったんだと思います。気温は高かったですし、コックピット内はもっと暑かったです。プログラムの最中は肉体的には何の問題もありませんでした」

「ダウンフォースレベルが非常に高いので、高速コーナーは余裕を持って走れました。F2みたいに、ブレーキパフォーマンスの限界についてはそれほど心配する必要はありませんでした。自分が望むようにハードにプッシュすることができました」

「日本のスーパーフォーミュラを彷彿とさせました。F2よりはかなり速いですが、怖くはありませんでした。ロングランのために燃料を大量に積んで走っていましたので、コーナーでは重いマシンが路面をしっかり捉えていました。燃料が軽い状態で走っていたとしたら、かなりのスリルでしょうね」

「ブレーキの効きが凄かったです。マシンに乗ってすぐの早い段階で、ほんの少し強く践んだ時にスピンしてしまいました。クラッシュしたかなと思ったのですが大丈夫でした。これによって限界を見つけられたかなと思います。少し攻めてみないと、限界がどこにあるのかは分かりませんからね!」

ミハエル・シューマッハの走りに魅了されF1を志した松下信治、現在はホンダの育成ドライバーとしてF2に参戦し、F1昇格のために必要なスーパーライセンスの取得を目指している。来季F1のシート枠があるかどうかに関わらず、まずは今季のF2選手権でランキング3位以内を得ることが第一関門となる。