セバスチャン・ベッテル
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手放しで優勝を喜ばないベッテル「短絡的なモノの見方は好きじゃない」F1ハンガリーGP 2017《決勝》

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サマーブレイクを前にワンツーフィニッシュという喜ばしい結果を飾ったフェラーリだが、セバスチャン・ベッテルはこの勝利を手放しで喜ぶことはなかった。

ハンガリーGPでのレースでステアリングトラブルのベッテルが先頭に留まれたのは、2番手を走るチームメイトのキミ・ライコネンの存在が大きかった。ベッテルはセーフティーカー開けの6周目からチェッカーフラッグを受ける最後まで、ステアリングの異常に苦しんでいた。

失速するベッテルと、猛追するルイス・ハミルトンとの間に挟まれたライコネンは、実質的にベッテルの優勝をお膳立てした。レース後、ベッテルは自身のレースを陰ながらにサポートしてくれたライコネンに対して謝罪した。だが、ベッテルが冴えない表情を浮かべるにはもう一つ理由があった。

フェラーリは前戦イギリスGPで”今シーズン中最悪の敗北”との批判にさらされていたが、ハンガリーGPでは一変して賞賛の声に包まれることになった。長期的な取組が結果を大きく左右するF1の世界において、1戦1戦のみを取り出して批判したり賞賛したりするのは”フェアじゃない”と、ベッテルは苦言を呈した。

F1ハンガリーGP決勝を振り返って

セバスチャン・ベッテル決勝: 1位, 予選: 1位

チームの皆をすごくハッピーにできたし、今日やり遂げたことを誇りに思うよ。レースの後、キミに謝ったんだ。僕は苦戦してて遅かったから、キミにとってはサンドウィッチ状態になってしまったよね。

ステアリングの問題はどんどん悪くなっていたから、キツいレースだったよ。もちろん再発防止に努めないとならないけどまだ原因は分かってないし、レース中は何もできなかったんだ。マシンを停めて問題箇所を確認して修理する、なんて訳にはいかないからね。なんだか変な感触だったから、かなり不快だったよ。忘れてレースに集中しようとしてみたんだけど、状況はどんどん悪くなっていったからそれも難しかったんだ。でも、最後まで速さはあったね。

僕は一部の人たちのような短期的なモノの見方は好きじゃないんだ。良いレースの後は全てが素晴らしいしヒーロー扱いされるけど、悪いレースの後はボコボコに言われるんだ。皆一丸になって、多くの時間を費やして一生懸命頑張ってるのにフェアじゃないよね。そういうことの積み重ねが最終的に違いを生むわけだし、僕がやっているのはそういうことなんだ。僕らの車はベストなマシンだと思うし、ダウンフォースは近年最高レベルにまで高くなってるよ。

来週はここハンガロリンクでテストがあるから、たくさんやる事があるね。その後はベルギーGPだけど、僕らはこれまでにベルギーで上手くやってきているしマシンは改善すると思うから、たぶん良いレースになると思うよ。


ベッテルを手助けした形となったライコネンは、自身には優勝に足るだけの圧倒的な速さがあったが、チームメイトを危険にさらしてまでオーバーテイクを仕掛けたくはなかった、とレース後にコメントしている。

第11戦ハンガリーGPの詳細については、2017年F1ハンガリーGP《決勝》結果とダイジェストを参照されたい。

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