F1シンガポールGP記者会見に出席した山本雅史と森山克英、フランツ・トストの3氏
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ホンダF1「来季の目標はトロロッソ・ホンダとして表彰台争いをする事」マクラーレンと手を切り大躍進を予言

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ホンダF1のブランド・コミュニケーション本部長を務める森山克英によれば、2018年シーズンの目標はトロロッソ・ホンダとして表彰台争いをする事だという。金曜公式記者会見の場で森山自身が明らかにした。

18年のホンダの目標はトップ3争い

「F1は創業者の本田宗一郎の夢であり、F1におけるホンダの歴史は50年以上に渡ります。F1は当社にとって極めて重要な文化でありDNAであります。多くの議論を経てきましたが、F1の撤退が選択肢として挙がることは一度もありませんでした。我々が目指しているのはこの厳しい状況を乗り越えて頂点を目指すことであり、来シーズンの我々の目標は、トップ3をかけて戦うことです」と森山は語った。

1980年代に圧倒的な強さでF1を席巻した”マクラーレン・ホンダ”だが、ハイブリッドターボ時代に復活したこの伝説のチームは、一度の表彰台も得ることなく僅か3年で空中分解した。度重なる信頼性とパフォーマンス不足が続き、2度のワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソがホンダを徹底批判、本人は否定したものの、マクラーレンに対しホンダか自分を選ぶよう迫った場面もみられた。

森山は、先行して新しい時代のエンジン開発を進めていたフェラーリ、メルセデス、ルノーとのギャップが大きかった事を不振の原因として挙げた。ホンダは3社より1年遅れてF1に参戦しており、一説ではメルセデスのハイブリッドターボエンジンは10年もの開発期間を経て実戦投入されたと言われている。

「我々がF1に復帰した時には、既に大きなギャップがありました。これを如何にして縮めていくかが最大の課題だったのです。ホンダはこの差を埋めるべく全力を尽くしてきました。我々はギャップを縮めキャッチアップできたと考えていますが、それと同時にまだ取り組むべき作業があることも理解しています」

大躍進を予想する山本部長とフランツ・トスト

ホンダのF1活動を指揮する山本雅史モータースポーツ部長も森山の意見に同意、ホンダが大躍進を遂げる事は決して夢物語ではないと強調する。

「来シーズンの開幕までにはもうあまり時間がありせん。ですが、私はホンダとトロ・ロッソが良い関係を築けるものと考えていますし、2018年が素晴らしい年になると期待しています」

「トロ・ロッソは純粋なレーシングチームだと思いますし、トロ・ロッソとホンダの哲学は似通っていますので、協調性を以て共に前に進んでいくことができると考えています。目標を達成することなくマクラーレンとの契約を解消せざるを得ない事態になってしまった事は残念ですが、キャッチアップ出来ることを信じていますし、ギャップを大幅に縮められると考えています」

ホンダとのパートナーシップを決断したトロ・ロッソのチーム代表を務めるフランツ・トストは、「近い将来にホンダが大躍進を遂げることを100%確信しています」と語り、ホンダとの提携には1ミリの疑問の余地もないと主張した。また、ギアボックスについてはトロ・ロッソ自身が製造する事を明らかにした。

レッドブルとの提携には前向きな姿勢

ホンダには、トロ・ロッソを手始めにして、その親チームであるレッドブルとの提携を模索したい思惑がある。レッドブルのマシンは、これまで幾度となくチャンピオンマシンをこの世に送り出して来た天才エイドリアン・ニューウェイが設計を担当している。

山本は「我々の照準は2018年にありますが、将来レッドブルにエンジンを供給するチャンスがあるのであれば、それを拒む理由は何もありません」と語り、レッドブルとの提携に前向きな姿勢を見せた。レッドブルとのアライアンスが成立すれば、マクラーレンと手を組むよりも遥かに優勝の可能性が高いと考えられている。

一部報道では、ホンダがトロ・ロッソを買収し、2018年にワークスチームとして再出発をするとの噂もあったが、山本は「トロ・ロッソの買収について社内で議論したことはありません」と語り、改めてホンダワークス復活を否定した。

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