フェルナンド・アロンソの会見
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ブチギレの真相 : アロンソ記者会見「僕にはどうすることもできない」

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2017年第2回プレシーズンテスト2日目、度重なるエンジントラブルに対しついに堪忍袋の緒が切れたフェルナンド・アロンソだが、実際の会見の様子はどのような感じだったのだろうか?公開プレスカンファレンスでのインタビューの模様をお伝えする。参考:2017年F1プレシーズンテスト2《2日目》ボッタス1位!キミは赤旗クラッシュ、マクラーレン再び…

問題が発生している
ホンダエンジンについて

Q:これはオーストラリアのエンジン仕様ですか?昨年よりも悪化しているのでしょうか?


フェルナンド・アロンソ

「これはオーストラリア仕様のエンジンではないけど、先週に手を加えたものだよ。オーストラリア仕様のものは全く別物なんだ。そういう意味では、最終版はある程度のパワーと信頼性を得られると思っている。でも、先週の仕様のエンジンは期待通りにはならなかったし、今週使ったものも期待には届いてない。今日使った先週の改良版は、昨年のエンジンパワーにも劣っているかもしれない。いろんな原因の問題がエンジンに出ているんだ。原因がはっきりしない以上フルパワーでは走れないんだ。」

Q:マシンからすべてのポテンシャルを引き出せるようになるのはいつになるでしょうか?


フェルナンド・アロンソ

「分からないよ。何を最優先にして決断しなきゃならないかによるさ。僕の目標は、可能な限り最良の状態でオーストラリアに行くことさ。第一には、残された2日間で僕たちはマシンの基本的なことを確認し、エンジンパワーを最大限に引き出さなきゃならない。オーストラリアでは可能な限り問題が起きずにレースを完走できるだけの信頼性を確立させ、できるだけエンジンパワーを発揮させなきゃならない。第二には、競争力あるマシンに仕上げること。トップ5の戦いをするためには、競争力が不可欠だ。レースに勝ち、表彰台に乗る、それが僕らが夢見ているものさ。そのためには、この状況を変える大きな決定をしなきゃならない。僕はチームが迅速にこの問題を解決してくれることを期待してるよ。」

ポジティブなところ

Q:テストの最初の6日間で色々問題がありましたが、何らかのポジティブな点はありましたか?


フェルナンド・アロンソ

「ぼくは、新しいルールには基本的に好意的なんだ。コーナーを攻めることができるし、多くのグリップがあることを感じることができるので、その点は素晴らしかったし、いい意味で驚きだったよ。今年は、子供みたいにタイヤをいたわらずに済むから、僕が好きなように全開で走ることができる。これはF1にとって凄く良いことだと思う。」

「マシンは良い感じだと思ってる。分析の結果では、他のマシンに比べてもコーナーでの時間ロスはほとんどないんだけど、ストレートでは1本ごとに30~40Kmも速度が遅いんだ。コーナーで稼いだタイムがすべてストレートで失われている状況だ。」

オーストラリアに向けて

Q:オーストラリアを考えた場合の短期的な解決策は何でしょうか?


フェルナンド・アロンソ

「僕には何もできないよ、僕がやれるのはできる限りベストを尽くすってことだけだよ。できるだけ速くコーナーを駆け抜けることだけさ。そのためには、エンジンパワーをすべて引き出し改善しなきゃならない。僕らは予定していたエンジンパワーが得られていないので、まだ全開でコーナーを走れていないんだ。」

Q:メルセデスエンジンがあれば、オーストラリアで勝てると思いますか?


フェルナンド・アロンソ

「何も分かってないね。そういったことは計算したり答えを出すのは不可能なんだよ。」「今よりもっとうまくいく可能性があると信じているからホンダと一緒に前に進むよ。ストレートで30kmも40kmも遅いわけにはいかないんだ。ホンダエンジンに何か問題が発生しているのだとすれば、設計時のテストと実際のコース上との間に何かしらの違いがあるってことさ。」

昨年から進化していない?

Q:この状況は2015年代に似ていますか?


フェルナンド・アロンソ

「いや、僕はそうは思わない。2015年にはテスト開始時に全く準備ができていなかったけど、その時はホンダは自分のエンジンについて何も知らなかったんだ。今では、彼らは過去2年間の多くのデータを持ってる。だからいま直面しているあらゆる問題に対しての解決策を彼らは持っていると思うよ。」

「僕らは2015年には不可能だった戦略を取ることができるし、エンジンマッピング、ギアシフトスピードといった点ではうまくいっているんだ。」


第2回目のテスト2日目で発生したマクラーレン・ホンダのトラブルは、実際にはエンジントラブルではなく、車体の水漏れであったことがフジテレビF1中継の解説でおなじみの米家峰起氏によって指摘されている。加えて、同氏は今回のアロンソのコメントを「政治的駆け引き」であるとし、マクラーレン・ホンダ自身そしてフェルナンド・アロンソ自身にとって悪影響にならなければ、、と懸念を示している。

アロンソがしばしば政治的発言を行うことは広く知られたところであり、その意味において皇帝シューマッハが引き合いに出されることは少なくない。かつて、レッドブルのヘルムート・マルコ博士やデビッド・クルサードもアロンソの政治的な側面に苦言を呈していた。

マルコの見解では、フェラーリチームから発せられるコメントに注意を払わなかった分、セバスチャン・ベッテルの方がアロンソより勝っていたといい、アロンソは政治的ゲームに身を置きすぎたと批判した。via : 政治と距離を置くアロンソ | ESPN F1

そしてまた同時に、マクラーレンが英国企業であり、またF1そのものが英国中心的な価値観と英国主体の運営によって成り立っていることを否が応でも感じずにはいられない。

ただし、一連の問題において最も問題であるのは、当のホンダF1プロジェクトの広報だろう。当事者であるホンダの情報発信があまりに少ない、あるいは不充分であるがために憶測でしか物事が報道されず、その憶測を即座に否定しない姿勢が原因となり、憶測はホンダの手の内を離れ一部メディアのPV稼ぎのネタにつながる、ということの繰り返しをここ3年続けているように思われるのだ。

その結果、多くのファンはヤキモキし、また、熱狂的なファンの一部はやけくそ気味に、そしてそのやけくそ気味になったファンに対してアンチが群がる、という構図ができつつあるような気がしてならない。「一体なんのために参戦したん?」と思われて然るべき状況であるであろうし、広報と現場との認識の相違、さらに言えばホンダ内部のF1挑戦に対する共通認識の不在を疑ってしまう。

プロジェクト成功において最も大切なことは、そのプロジェクトに参加するメンバーの能力が高いことでも、投入される予算が多いことでもない。参加するメンバーが同じ共通認識の元、一寸のずれなく同じ目標に向かい協力して突き進むことであり、そのことがメンバー全員のやりがいと幸せに繋がっていることだと思う。

果たしてホンダF1プロジェクトのメンバーは今幸せだろうか?自分の仕事に疑念を持つことなく胸を張っているだろうか?ブチギレ報道とは裏腹に、アロンソの記者会見はホンダエンジンではなくホンダの内部体制の問題を露呈しているのではないだろうか?